コオロギの可能性を引き出す、最先端バイオテクノロジー。

コオロギの可能性を引き出す、最先端バイオテクノロジー。

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グリラスの歴史と未来を語るメディア「グリラスストーリーズ」
今日は、少し難しいけど聞いてほしい。グリラスのテクノロジーについてのお話です。

株式会社グリラスは、フードロスから生み出された循環型食品(=サーキュラーフード)である食用コオロギの製造・販売のみならず、徳島大学の基礎研究をベースにした最先端バイオテクノロジー技術開発の研究所としての側面を持ちます。2019年に会社が創立するより前から、脈々と受け継がれてきたコオロギ研究の蓄積が、今日のグリラスを支えています。

コオロギの可能性を開く、グリラスが世界に誇る最先端のテクノロジーって?グリラスを代表する技術である「コオロギの半自動飼育システム」と「ゲノム編集」について解説します。

コオロギの半自動化飼育システム

これまでのコオロギの飼育方法は、採卵から給水・給餌、収穫までを手作業で行うのが一般的。そのため生産コストが膨大となり、産業としての発展がしにくいという背景がありました。

グリラスが徳島大学および株式会社ジェイテクトと共同で開発を進めているのは、給餌・給水・収穫・清掃の4つの工程を自動化することで生産工程を大幅に効率化させたコオロギの半自動化飼育システム。2021年上半期にプロトタイプを導入し、現在も改良を重ねています。

先駆者のいない新たなシステムの開発には苦労がつきません。コオロギはとても小さいので飼育容器の密閉度を上げないと逃げてしまうし、高すぎても弱ってしまいます。給餌についてもどのくらいの量を1日何回与えるか、というデータを得るところからのスタートで、最も難しかったのは給水の方法です。

コオロギは液体を飲むことができず、野生のコオロギは朝露を舐めたり、落ちた木の実をかじったりすることで水分を補給しているのですが、ではそれをどうやって飼育ケースの中で再現しようか?何もかも手探りの所から開発がスタートしました。

コオロギの生き物としての特性をしっかり把握していないと、到底実現不可能だと言われていた半自動化飼育システム。ですが、コオロギへの理解は随一と自負するグリラスと、システム面の実装を担う株式会社ジェイテクトとのコラボにより、ようやく形にすることができました。

プロトタイプの導入からまだ日が浅く、シュミレーションの範囲ではありますが大幅な時間短縮を実現することにより従来の手動での生産に比べ半分以下のコストを実現できると見込んでいます。

コオロギをもっと身近に、誰の手にも届きやすいものにするために。今後も開発を重ね、半自動化から、人の手を全く介さない完全自動化を目指しアップデートを重ねていく予定です。

しっかり知って、一緒に考えたい。ゲノム編集の話

畜産や農業の現場では、生産効率や味覚品質の向上に向けて常に品種改良が行われてきた長い歴史があるのをご存知でしょうか?

品種改良とは、自然の中で発生する突然変異の個体をうまく活用することで人間にとって利用しやすい性質の種を作り上げるというもの。美味しさの向上はもちろん、病気や冷害・高温への耐性を付けることで、農薬を減らせたり、生産コストを大幅カットすることができるというメリットがあります。稲や果実、乳牛の育種などで長い間試行錯誤が続けられてきましたが、実現には膨大な時間と労力が必要で、これまでの品種改良はごく一部の家畜類に限定され行われてきました。

グリラスで扱っているゲノム編集は、これまで品種改良で行われてきたプロセスを、より効果的・効率的に改良してできた技術です。

どんな生物も日常的に「細胞内のDNAに切れ込みが入る→すぐ修復する」サイクルを繰り返しているのですが、数万回に一度修復にエラーが起こり、性質が変異します。それがどのような変異かは完全にランダムで、その変異した個体を活用するのが一般的な品種改良です。機械を使って自然発生する回数より多くの突然変異を起こし、欲しい性質を持った個体を探す方法もありますが、変異の起こり方はランダムのままで、変わらず膨大な時間が必要でした。

一方、ゲノム編集は品種改良と同じ現象をDNAの指定した位置で起こし、「狙った形質を意図的に得る」ことができる画期的なテクノロジーです。

外から新たな遺伝子を持ってきて加える遺伝子組み換えとは違い、生物の中でもともと起こっている修復作業を利用しているので、品種改良と同じく安全性に問題を生じません。

グリラスでは、徳島大学での30年近くに及ぶコオロギ研究を通じて確立したゲノム編集のノウハウ、特許技術を継承。目的の形質を持ったコオロギを作製する技術を既に確立させており、安全性が高く、味の良いコオロギを生産することができます。

今月、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が実施した2021 年度「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援(以下、「NEDO STS 事業」)」に採択され、グリラスは新たに徳島県美馬市にある廃校を整備し、世界初となるコオロギの品種改良を目的とした研究施設を立ち上げることになりました。

これまで以上に食用に適した系統や大量生産に適した系統、機能性成分を有した栄養価の高い系統など「高度な品種改良」をこれからも進めていく予定です。

これからもグリラスは食品メーカーとして、そしてコオロギの最先端の研究所として、安全性への担保とさらなる品質の向上を目指したアップデートを両輪で進めてまいります。

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