
- 美容・健康
- 2022.02.10
完全食ってどんなもの?注目される理由と注意したい点
「完全食」は現代人の健康的な食生活をサポートする食事や食品のことです。忙しい生活を送る中、バランスの悪い食生活になっていませんか。
本記事では、完全食がどのような食事か、なぜ注目を集めているのかを紹介した上で、完全食を活用するときの注意点についてもお伝えします。
完全食(完全栄養食)ってどんなもの?

かつては卵・玄米・豆腐・納豆・バナナ・ヨーグルトなど、いろいろな栄養素を多く含んでいる食品のことを「完全食(完全栄養食)」と呼んでいました。一方、近年は「健康を維持するために必要な栄養素すべてをバランス良く含んでいる食品」のことを完全食と呼ぶようになってきました。
日本の場合、厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準」が示す必須栄養素を過不足なく補っていることが、完全食の基準になっています。ただし、国によっては配合する栄養素や量、基準などに違いがあるため、海外で生産された完全食は日本の物とは違う栄養バランスで配合されている可能性があります。
完全食とサプリメントの違い
不足している栄養素を摂取するには、「サプリメント」を飲むという方法もあります。サプリメントと完全食の違いは、完全食が体に必要な栄養素をすべて含んでいるのに対し、ほとんどのサプリメントは、一部もしくは複数の栄養素を補うことが目的です。そのため、体に必要な栄養素をバランス良く摂りたい場合は、他の食品や複数のサプリメントを組み合わせて考えていく必要があります。
サプリメントは錠剤や粉末タイプのものが多く、薬のように水やお湯と一緒に飲んで摂取するため、サプリメントだけでは食事を楽しみにくい傾向にあります。食事は、栄養摂取だけが目的ではなく、心身の健康のために食事そのものを楽しむことも大切です。
また、完全食の最大のメリットは、1日に必要な栄養素や摂取のバランスを考えなくても良いという点にもあります。また、サプリメントと違って、食事そのものを楽しむことができる完全食も増えてきました。
完全食のイメージ
完全食にはどのようなタイプがあるのでしょうか。
パンやパスタなどの「主食タイプ」は、日常的な食事と置き換えする場合に適しています。かつての完全食は人工的な味がしたり、食感が悪かったりするものも多く、食事として楽しみにくいイメージがありました。しかし、味や食感の改良が進んだことで、美味しいと評価を受けるものも登場しています。
クッキーやグミ、バーなどの「固形タイプ」は、手軽で簡単に栄養がとれるおやつ型の完全食として注目されています。小腹が空いたときの間食やティータイム、仕事やスポーツの合間など、袋から出せばいつでもすぐに食べることができて便利です。
プロテインのように粉末を水やお湯などで溶かして飲む「ドリンクタイプ」は、飲むだけで栄養とお腹を満たすことができます。そのため、ダイエット時の置き換え食としても人気があります。
【栄養素別】1日に必要な栄養素

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」によると、1日あたりに必要な主な栄養素の種類は以下のとおりです。完全食といわれる食品には、これらの栄養素が必要量含まれています。
タンパク質 | 脂質 | 飽和脂肪酸 | n-6系脂肪酸 | n-3系脂肪酸 |
炭水化物 | 食物繊維 | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE |
ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ビタミンB6 | ビタミンB12 |
ナイアシン | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン |
鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン | ヨウ素 |
セレン | クロム | モリブデン |
完全食が注目を集める理由

近年、働き盛りの世代を中心に、新しい食のスタイルとして完全食が注目されつつあり、急速に市場が拡大しています。大手企業や人気ブランド、流行の最先端を取り入れている飲食店などで次々と新製品が販売され、今後もこの傾向は続くと考えられています。
完全食そのものは、全く新しい食品というわけではありません。粉末ドリンクタイプやバータイプなどはかなり前から存在します。それでは、なぜ今になって完全食が注目を集めるようになってきたのでしょうか。
忙しい現代人のライフスタイルにマッチしている
現代は、仕事や趣味が忙しくて料理にあまり時間をかけられず、簡単な料理ばかり食べているという人や、一人暮らしで食事はコンビニやデリバリー、外食ばかりという人も多くいます。毎日、栄養バランスを考えずに偏った食事をしていると、次第に健康が心配になってきます。
そこで、調理に時間をかけることなく手軽に摂取でき、必要な栄養素もすべて補うことができる完全食が注目されているのです。完全食は、現代のニーズやライフスタイルにマッチした食事だといえるでしょう。
消費者のニーズが多様化している
完全食は子どもから高齢者まで偏りなく利用できるため、幅広い世代から注目されています。また、近年になって個人のライフスタイルや価値観が多様化、それらのニーズに応えられる食事として完全食の注目度が上がっています。
・日常の食事に足りない栄養素やエネルギーの補給
・美容やダイエットの置き換え食
・病人や高齢者の健康管理や栄養管理
・運動や仕事、勉強などのパフォーマンス向上
・災害時の非常食
このように完全食を求める消費者のニーズは幅広く、完全食は多くの用途に利用されています。
完全食の市場規模

株式会社日本能率協会総合研究所が2019年に公表した調査結果では、「2020年の完全食の市場規模はおよそ25億円で、2024年にはおよそ145億円規模にまで達成するであろう」と予測しています。
以前は、食事としては満足感が得にくく、味も美味しいとはいえないなどの理由で、完全食の継続的な利用は難しいとされていました。しかし、現在は日本人向けに調整され、パスタやパンなど、食事として楽しめるタイプの商品が開発されています。以前の商品と比べると、味が良く、食べやすくなり、満足感が得やすいことから、働き盛りの世代を中心に支持されるようになってきました。
今後は、量産化による低価格化や小売店などの取り扱いが拡大し、さらに市場が広がると予想されています。
昆虫食はパウダー活用で完全食に近づける

昆虫食は、高タンパク・低炭水化物・必須アミノ酸を豊富に含む食材として注目され始めています。
コオロギは、特にタンパク質が豊富。その含有量は、コオロギパウダーの場合、100g当たり約76gもあります※。これは、粉末プロテインの約3杯、鶏ムネ肉ならば約300g、牛乳では2Lに含まれているタンパク質の含有量と同等です。また、タンパク質の他にもビタミン・亜鉛・鉄分・マグネシウム・カルシウム・オメガ3といった体に必要な栄養素を豊富に含んでいます。
このように、栄養価が高い食材ですが、必要な栄養素をすべて含む完全食という訳ではありません。ですが、粉末状に加工すれば、他の材料とも組み合わせやすいため、今後は完全食の材料の一部としても利用価値が高いといわれています。
※グリラスのフタホシコオロギを粉末化した「グリラスパウダー」の場合
コオロギの栄養価について詳しく知りたい方はこちらをチェック↓

【注意点】完全食だけだと不健康になることも

完全食は手軽に食べることができるものが多いため、咀嚼回数が減り、アゴの筋肉が衰えてきます。特にドリンクタイプのものには注意が必要です。また、完全食とはいえ、ダイエットに適した低カロリーに作られているものだけを食べていると、カロリー不足になってしまう可能性があります。
また、完全食の種類はかなり増えてきましたが、現段階ではまだまだ十分とはいえません。そのため、毎回同じようなメニューになり、飽きが来やすく、長期間続けるのは難しいこともあります。
このようなデメリットを解消するために、メーカーも「完全食だけで生活するのではなく、3食のうち1食を完全食に置き換える」「毎回同じ完全食にするのではなく、複数種類を併用する」など、無理のないペースで利用していくことを推奨しています。
最新の完全食は完全栄養&おいしさの両方を実現している!

完全食は主食として利用できるものやドリンクタイプ、固形タイプなど、さまざまな種類があります。また、味が良いと評判の商品も増えてきました。そのため、完全食の人気はこの先ますます高まると予想されます。
近年、食事を作る手間や食事をする時間を惜しんで、仕事や趣味に没頭する忙しい人が増えています。つい、冷凍食品やカップ麺のような食品に頼りがちになりますが、このような食事だけでは栄養面が不安です。
そんなときは、調理の手間がかからず栄養面も安心できる完全食を、生活の中に上手く取り入れてみませんか。これからは、ライフスタイルも健康も充実させていくために、完全食が欠かせないという時代が来るかもしれません。