
- 食料問題・地球環境
- 2022.05.24
環境問題のために私たちができることとは?問題別に対策方法を知ろう
地球上で起きているさまざまな環境問題を解決へと導くには、私たち一人一人が自分ごととして捉えて取り組むことが大切です。この記事では、現在大きく取り上げられている気候変動・環境汚染・生態系に関わる環境問題を解説します。問題別に自分にできる対策方法も紹介するので、日常生活で取り入れる際の参考にしてみてくださいね。
地球で起きている環境問題とは

人間の経済活動によって地球環境に変化が起き、問題が生じることを環境問題と言います。地球温暖化による気候変動やゴミ問題などの環境汚染、生物多様性の喪失といった生態系の破壊など、地球にはさまざまな環境問題が発生し、それぞれが無関係ではありません。
環境問題が世界的に注目され始めたのは、先進国で工業化や都市化が著しく進んだ1970年代からです。以降、国連や地球サミットなどで環境問題について頻繁に議論が行われるようになりました。現在、環境問題の解決が国際的にも重要な課題となっています。
気候変動
人間の経済活動により起きる気候変動の原因と言われているのが、地球温暖化です。それに伴い、海面上昇や異常気象などの問題も発生しています。まずは、気候変動に関する環境問題について解説します。
1. 地球温暖化

地球温暖化は、人間の活動により排出されるCO2(二酸化炭素)を中心とした温室効果ガスの増加が原因とされています。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、世界平均地上気温は、1880~2012年の間に0.85℃上昇したと報告されています。
このまま有効な対策を何も取らずに地球温暖化が続けば、21世紀末には2.6~4.8℃上昇することが予測されているのです。地球温暖化による気温の上昇は、海面上昇や農作物の生育へも影響を与え始めています。
地球温暖化の影響については、こちらの記事で詳しく解説しています↓

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2. 海面上昇

海面上昇は、地球温暖化の影響で海水温度が上昇して膨張したり、氷河などが溶解したりして起きる現象です。IPCCより、1901-2010年の間に約19cm海面上昇したことが報告されています。
既に、ツバル、マーシャル諸島共和国、フィジー諸島共和国などの海抜の低い多くの島国では、高潮による被害や飲み水に影響が及んでいます。平均海抜が1.5mしかないツバルでは、他国への移民を余儀なくされる環境難民の問題も発生しているのです。
3. 異常気象

現在世界中で異常気象による被害が発生しています。2020年の世界の平均気温は2016年と並び観測史上最高温度を記録しました。シベリアは長期にわたり高温が続き、北米では森林火災が発生、アジアでは大雨による災害が相次ぐなど、世界各地で異常気象による影響が出ています。地球温暖化の進行に伴い、今後、豪雨や猛暑の発生リスクが高まると言われています。
気候変動については、こちらの記事で詳しく解説しています↓

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気候変動に対して私たちにできること

気候変動の問題に取り組むために、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量を抑えるライフスタイルを意識してみましょう。
(1)生産過程でCO2排出量が少ない食品を選ぶ
(2)自動車の利用は控える
(3)使わない電化製品の主電源を切る
(4)シャワーの時間を減らす
(5)1日5分のアイドリングストップをする
(6)エコバックを使用する
(7)電球ではなく蛍光灯やLEDを使用する
(8)ジャー・ポットの保温を止める
(9)冷暖房の設定温度や使用時間を変える
(10)お風呂の残り湯を洗濯に使用する
CO2を減らすために個人でできる取り組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています↓
同月記事「CO2排出量」へ内部リンク
環境汚染
大気や海洋、土壌の環境汚染は人間の生活を脅かすだけでなく、生態系にも大きな影響を与えています。次に、環境汚染に関する問題を詳しく解説します。
1. 大気汚染

工場や自動車から排出される硫黄酸化物や窒素酸化物といった化学物質が排出されることで、大気汚染が起きています。これらの物質は、空気中で強い酸性を持った物質に変化して酸性雨を降らせます。この酸性雨により、植物や農作物が枯れたり、石灰岩質の土地を溶かしたりなどの環境問題も発生。また、これらの化学物質は光化学スモッグやPM2.5を発生させ、人間の健康や植物・農作物への被害をもたらしています。
2. 海洋汚染

人間の生活から出るゴミや汚染物質が海を汚しています。海洋ゴミで特に問題になっているのが、プラスチックゴミです。プラスチックは自然に分解されないため数百年も残ります。海の生物が間違ってプラスチックを飲み込んでしまい死に至ることも。プラスチックゴミ以外にも、工場排水や生活排水も海洋汚染の原因となっています。
3. 土壌汚染

土壌汚染は、工場から有害物質が漏れたり、有害物質が含まれたものを土壌に埋めたり、または大気中の汚染物質が落ちたりして、土壌に蓄積することで発生します。水中や大気中とは異なり、土壌中の汚染物質は長期間とどまりやすいのが特徴です。人間への影響だけでなく、地域の生態系を乱し、動植物の生命へ長期的に影響を与える可能性があります。
環境汚染に対して私たちにできること

「大気汚染」は生活から排出されるガスを抑えること、「海洋汚染」はゴミを増やさないこと、「土壌汚染」は汚染物質についての知識を増やし使用を避けることなどを意識しましょう。
<大気汚染>
(1)発電所からの排気ガスを抑えるため電力などのエネルギーを無駄遣いしない
(2)排気ガスを抑えるために公共交通機関や自転車を利用する
(3)アイドリングストップをしたり、加速・減速を少なくしたりなどエコドライブを心がける
<海洋汚染>
(1)マイバッグ・マイボトルを持ち、プラスチックゴミを出さないようにする
(2)使用済みの天ぷら油やマヨネーズなどを排水として流さないようにする
(3)海のエコラベル(MSC)が付いている海産物を購入する
(4)海や川のゴミを拾うなどボランティアに参加する
<土壌汚染>
(1)土地の所有者や事業者は土壌汚染の調査を積極的に行う
(2)土壌汚染の原因となる有害物質について知識を増やし、その使用を避ける
(3)土壌汚染に関係する説明会・セミナーなどに積極的に参加する
生態系に関わる問題
人口の急激な増加や生物多様性の喪失、食料問題といった生態系に関わる問題も起きています。次に、人間を含む生態系に影響を及ぼしている環境問題を詳しく解説します。
1. 人口爆発

人口が爆発的に増加することによって、食料を始めとした資源の不足が起きたり、資源確保のため環境破壊が進んだりする問題が起きると言われています。そうした人間の行いは、人間以外の生物の環境にも影響を及ぼし、世界中でさまざまな生物の減少や絶滅のスピードが加速する可能性もあるでしょう。
国連の発表によれば、2050年には世界人口が100億人に達するといわれています。その主な理由は、技術革新による作物の生産能力の向上、医療の発達による死亡率の低下、発展途上国での出生率の増加などがあげられます。
さらに人口爆発が進み食料・資源・水不足が起きると、貧困層と経済格差が拡大するといった問題へも波及します。
2. 生物多様性の喪失

地球上には多種多様な生物がいますが、その生物多様性が速いスピードで喪失しています。その主な原因として考えられているのが、環境破壊と汚染、過剰な資源利用、外来種、地球温暖化です。
WWFによると、1970~2014年の間に68%もの世界の生物多様性が失われ、人間の消費は地球が生産できる範囲を60%も超えていると報告されています※。環境保全のみならず、持続可能な生産と消費活動をすることが重要です。
※WWF『Living Planet Report:生きている地球レポート』
3. 食料問題

食料問題も今後、生態系へ影響を与える要因の1つです。先進国では、消費期限切れや食べ残しにより大量の食料が廃棄される食品ロスが発生しています。食品ロスによって発生する温室効果ガスは、生態系や気候変動などに影響し、環境問題を引き起こします。
一方、発展途上国では、食料が十分に行き届かない飢餓問題が起きています。さらに、先に述べた人口爆発によって、食料難に陥る可能性も示唆されているのです。
また、国連食糧農業機関(FAO)は、生物多様性の喪失も世界の食料生産が危機にさらされる可能性があることを報告しています。
食料問題については、こちらの記事で詳しく解説しています↓
同月記事「食料問題」へ内部リンク
生態系の問題に対して私たちにできること

生態系に起きている影響を抑えるには、私たちの消費活動を見直すことが大切です。ここでは、「人口爆発」「生物多様性の保全」「食糧問題」のそれぞれにできる対策を紹介します。
<人口爆発>
(1)飢餓や貧困への対策としてフェアトレードのものを買う
(2)ファストファッションを買わないようにする
<生物多様性の保全>
海のエコラベル「MSC」や養殖のエコラベル「ASC」がついた海水産物、適切な森林管理により生産された原材で製造されている「FSC」ラベルが付いたものなど、加工プロセスで自然破壊・環境汚染をしていない商品を選ぶ
<食料問題>
(1)食品ロスを減らすために、必要なものだけ買い、食べ残しをしないことを意識する
(2)食品廃棄物を使用し養殖した昆虫食など、食品ロス削減に配慮した食品を選ぶ
(3)地産地消を心がける
食品ロスの原因と家庭でできる対策については、こちらの記事で詳しく解説しています↓

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環境問題を自分ごととして捉え取り組みを始めよう

人間の経済活動により、気候変動や環境汚染、生態系の破壊といったさまざまな環境問題が起きています。これらの問題を解決するには自分ごととして捉えて日常から取り組むことが大切です。今回紹介したことを参考に、まずはどのような環境問題があるのかを知り、できることから始めてみませんか。