ミドリムシとは?持続可能な未来のためにさまざまな可能性を知ろう

ミドリムシとは?持続可能な未来のためにさまざまな可能性を知ろう

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ミドリムシは5億年も前から生き続けている生命体で、動物と植物の両方の性質を兼ね備えています。栄養が豊富でサプリメントとしても注目されるミドリムシ。この記事ではミドリムシとはどんな生物なのか、食品としてだけではなく、バイオ燃料や肥料などさまざまな分野での可能性とともに詳しく解説します。

INDEX

ミドリムシとは

ミドリムシを拡大した様子

ミドリムシとは太古の時代から生き続けている、植物と動物の性質を併せ持つ不思議な生命体です。まずは、ミドリムシとはどんな生物なのか解説します。

ミドリムシは「虫」ではない

ミドリムシは、5億年前もの太古の時代から生き続けている生命体です。平均的な長さは0.03~0.5mm、幅は0.005~0.04mmと大変小さく、肉眼ではその姿を確認できません。

ミドリムシは和名で、学名は「美しい目」を意味する「ユーグレナ」。「ムシ」と名前についているので、昆虫の一種だと誤解されることがありますが、昆虫とは全く異なるものです。

植物・動物どちらの性質も持っている

ミドリムシは、昆布やワカメなどと同様に葉緑素を持っていて、光合成する「藻(そう)類」の仲間です。同時に原生動物としての特徴も持っています。長い鞭毛があり、泳ぐように移動します。つまりミドリムシとは、植物と動物どちらの要素も兼ね備えた不思議な生命体と言えるでしょう。

環境問題の解決策として期待されている

ミドリムシは光合成により成長、増殖します。「光合成を行う=二酸化炭素を炭水化物等に固定化して酸素をつくる」ということです。この生産効率が他の植物と比べてもミドリムシは非常に優れていて、二酸化炭素を固定する能力の高さが、地球温暖化対策に期待できるとされています。

ユーグレナ社のミドリムシは、世界初の「ASC-MSC 海藻(藻類)認証」を取得しました。ASC認証は、環境と社会に配慮した責任ある養殖方法で生産された水産物を対象とする国際認証制度。MSC認証は、持続可能で環境に配慮した漁業で獲られた水産物を対象とする国際認証制度です。ミドリムシは現在食品、バイオ燃料、肥料、飼料、バイオプラスチックなど、さまざまな分野で活用されています。

ミドリムシの食品としての可能性

ミドリムシを使った緑色のサプリ

ミドリムシは、人が必要とする栄養の多くを、効率よく摂取できる優れた食品であると言えます。この項では、ミドリムシの食品としての可能性を見ていきましょう。

人が必要な栄養素の大半を持っている

ミドリムシは、植物・動物どちらの性質も兼ね備えているので、有する栄養素もバリエーション豊富。食物繊維、ビタミン・ミネラル類、必須アミノ酸、不飽和脂肪酸など、59種類の栄養素をバランス良く含み、人が生きていくのに必要とする栄養素の大半を持っています。

なお、食物繊維はお腹の調子を整えてくれる重要な栄養素の1つですが、ミドリムシに含まれる食物繊維であるパラミロンは、ミドリムシだけが持つ食物繊維でその機能性の高さが注目されています。パラミロンは「不溶性食物繊維」であるものの、本来「水溶性食物繊維」しか持たない働きもすることが分かっています。

食物繊維については、こちらの記事で詳しく解説しています↓

効率良く栄養を吸収できる

ミドリムシには細胞壁がないため、バランス良く含まれている59種類の栄養素を効率的に吸収できるメリットがあります。野菜を始めとする植物の細胞には、細胞を固く覆う壁があるため、これを私たち人間が摂取しようとすると、消化する際の効率が落ちます。

それに対して細胞壁を持たないミドリムシには、やわらかい細胞膜があるだけ。他の野菜や果物に比べて、より効率的に栄養素を消化できるのです。ミドリムシサプリメントなら、さまざまな栄養素が一気に摂取でき、たくさんのサプリメントを飲む必要がないので、より効率が良いと言えるでしょう。

ミドリムシのバイオ燃料としての可能性

バイオジェット燃料で飛ぶ飛行機

ミドリムシは食品だけではなく、バイオ燃料としても期待されています。ミドリムシを活用したバイオ燃料は、地球環境への負荷を抑え持続可能な未来へとつなげてくれる可能性があります。

さまざまなバイオ燃料が作れる

ミドリムシの油脂と使用済みの食用油を原料に、さまざまな代替燃料が作られています。主なものは次の通りです。  

バイオエタノール 車を動かすガソリンの代替エネルギー。
バイオディーゼル燃料 大型車両などを動かす経由の代替エネルギー。
バイオジェット燃料 ジェット機などを動かすジェット燃料の代替エネルギー。

限りある石油などの化石燃料の代替エネルギーとしても、バイオ燃料に期待が集まっています。バイオ燃料は動植物などから生まれたバイオマス(有機性資源)を原料として作られたサステナブルな代替燃料。使用済みの食用油などの廃棄物を主な原料として作られています。捨てられるはずのものを再利用できる他、二酸化炭素の排出も抑えられるので世界でも注目されています。

二酸化炭素の排出量が抑えられる

化石燃料の代替エネルギーとしてバイオ燃料を使うことは、地球温暖化を止めると期待されています。化石燃料は、使うと一方的に二酸化炭素が排出されるため地球温暖化が進む原因になります。

バイオ燃料を使う際も二酸化炭素は排出されますが、原料である作物などが成長する過程で二酸化酸素を吸収しているので、二酸化炭素の排出はゼロとカウントされます。この考え方を、カーボンニュートラルと言います。

カーボンニュートラルについては、こちらの記事で詳しく解説しています↓

ミドリムシの肥料・飼料としての可能性

作物に肥料を撒く様子

ミドリムシを肥料や飼料にすることでもメリットが得られます。家畜や作物に与えることで、より品質が向上する可能性も。

収穫量の増加や収穫後の鮮度が低下しにくい

ミドリムシが入った肥料を使用すると収穫量が増え、収穫した後の鮮度も低下しにくくなる可能性が期待されています。ミドリムシから作られる肥料は次のようなものです。

培養土・有機液肥 バイオ燃料を作った後の残さから作られる
有機化成肥料 ミドリムシと残さを組み合わせて作られる

味や品質が向上する

59種類もの豊富な栄養素を含むミドリムシを活用した飼料を家畜に与えると、味や品質が良くなる可能性が研究でわかっています※。例えば比内地鶏は脂の色味が強くなり、うま味が向上すると示されました。

ニジマスはコクや旨味が増し、車えびは肉質が改善するケースも見られています。ミドリムシは他の食料と競合しないため、持続的な生産が可能な原料となるでしょう。

※ユーグレナ社…「ユーグレナ粉末とクロレラ粉末入り飼料による、比内地鶏の色味と肉質の変化に関する研究について」

ミドリムシは持続可能な未来へつながる生物

持続可能な未来

ミドリムシは栄養豊富で、未来につながるさまざまな可能性を持っています。栄養バランスに優れ、将来的に持続可能な栄養補給源としても期待が集まっています。まずはサプリメントなど手軽に摂取できるものから、ミドリムシの可能性に触れてみませんか。

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