アップサイクルとは?リサイクルやリメイクとの違いとメリットを知る

アップサイクルとは?リサイクルやリメイクとの違いとメリットを知る

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持続可能な社会の実現を考えるときに使われる「アップサイクル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。リサイクルやリメイクと似た取り組みではありますが、アップサイクルにしかないメリットもあります。アップサイクルの意味やメリット、リサイクルなど似た言葉との意味の違い、具体的な事例についてそれぞれみていきましょう。

INDEX

アップサイクルとは?

ビンテージチェアの作り変え

「アップサイクル」の意味

アップサイクルとは、不要となったものに新たなアイディアなどを取り入れ、付加価値を持たせてアップグレードし、別の新しい製品として蘇らせることです。例えば、古くなったタイヤや米袋を使って作られたバッグや、使われなくなったシンバルを文字盤にした壁掛け時計などはアップサイクル製品です。

アップサイクルでは、もともとの素材を分解したり溶解したりして別のものに変えられるのではなく、不用品そのものの素材や特徴を活かします。ファッションやインテリアなど、さまざまな業界から注目を浴びているサスティナブルなモノづくりシステムです。

アップサイクルの対義語「ダウンサイクル」

一方、アップサイクルによく似た単語に、ダウンサイクルがあります。ダウンサイクルとは、不要となったものが本来持っていた価値よりも劣るものの、別の有用性を見出して製品化する、または使用することを指します。

使わなくなったタオルを雑巾としたり、古着を作業用の服としたりした方は多いのではないでしょうか。また、新聞紙を再生紙に作り変えられることも、ダウンサイクルの一例です。あまり耳慣れないアップサイクルと違い、ダウンサイクルは意外と身近な存在といえます。

方法は異なるものの、アップサイクルもダウンサイクルも、ゴミを減らすために有効なシステムと言えるでしょう。

アップサイクルと似た言葉との意味の違い

ゴミ削減に有効な取り組みに、不用品を活かしゴミを減らす「3R」と呼ばれている「リサイクル」「リデュース」「リユース」があります。さらに、アップサイクルと混同されやすいのが「リメイク」です。

ここでは、この4つの言葉の意味とアップサイクルの違いを紹介します。

「リサイクル」との違い

リサイクルとは、再利用と言う意味で、廃棄物を一度、原材料の状態に戻してから製品として再生することです。例えば、牛乳パックからトイレットペーパーを作ることやペットボトルから衣類を作ることがリサイクルと言えます。

リサイクルを実現するには、ゴミを正しく分別して捨てることやリサイクル製品を積極的に利用することが大切です。

アップサイクルと似た意味ではありますが、アップサイクルは廃棄せずに製品に新たな価値を生み出すことであり、リサイクルとアップサイクルは異なるものです。

「リデュース」との違い

リデュースは、ゴミを出さないようにする行いのことを指します。例えば、買い物をした際に、持参したマイバッグに入れて店舗の袋はもらわないことや、洗剤などを容器に詰め替えて使用することです。レンタカーやカーシェアリングを利用することも、リデュースです。

使用頻度が少ないものは、レンタルサービスを利用しましょう。一つのものを共有すれば、その分だけ廃棄物が減らせます。

リデュースも、新たに付加価値を生み出すアップサイクルとは、異なるものです。

「リユース」との違い

リユースは、1つの製品を繰り返し使うことを指します。アップサイクルのように、新たに価値を付けるのではなく、製品本来の状態で再利用することです。

リユースの例としては、要らなくなった衣類や家具などをフリーマーケットやネットオークションなどで販売して、別の人に使ってもらうことなどが挙げられます。そのほか、中身を利用した後に容器を店舗などに回収してもらい、新たに中身を入れて再び使用する「リターナブル容器」もリユースです。日本では、一升瓶やビール瓶などがリターナブル容器としてリユースされています。

製品をそのまま使うリユースに関しても、製品をアップグレードさせるアップサイクルとは異なります。

「リメイク」との違い

リメイクは、「作り直す」という意味で、製品に手を加えて再利用したり、違う印象のものにしたりすることです。

リメイクはアップサイクルに特に似た印象を持つかもしれませんが、両者は少し異なります。アップサイクルは、付加価値のある別の製品に作り変えることに対し、リサイクルは製品本来の用途に変わりはありません。例えば、穴の空いたジーンズに布を当てて違う雰囲気のジーンズにすることは、リメイクに当たります。リメイクは、リフォームに近い言葉だと言えるでしょう。

アップサイクルのメリット

Zero waste household

エネルギー消費を抑えて環境負荷を減らせる

アップサイクルは製品本来の姿や素材を生かすので、リサイクルで必要な工程が不要になります。そのため、エネルギーやコストを抑えることができ、環境への負担を減らせます

一方で、リサイクルの場合、製品を分解して一度資源としてから、新たな製品を作ります。しかしこれは、製品を分解する、溶かすなどの工程が必要で、莫大なエネルギーが必要です。

持続可能な社会の実現に興味がある方はこちら

リユースやリメイクより長く使えるようになる


アップサイクルは、新たな付加価値を付けたり、別の製品へ作り替えたりするため、製品自体の寿命を延ばすことが可能となります。しかし、リメイクやリユースをしても、製品の寿命自体はさほど延びません。たとえリメイクしても、製品自体の消耗をカバーすることが難しいためです。

例えば、古くなったまな板を誰かに譲ってリユースしても、使い古したまな板には変わりません。しかし、まな板に色を塗って壁に飾ってインテリアの一部にするなど、アップサイクルで違う製品にすれば、長く楽しめます。

SDGs達成に貢献できる

アップサイクルすることで、SDGsの達成に貢献することもできます。「SDGs(持続可能な開発目標)」は、2015年に国連サミットで採択されたグローバル社会共通の達成すべき17の目標と169の達成基準です。

アップサイクルは、17の目標のうち、持続可能な生産消費形態を確保するという目標12「つくる責任 つかう責任」達成の一助となります。目標12では、「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」ことが達成基準とされています。
※農林水産省『SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット』

アップサイクルで、捨てられるはずの製品が新たなものに生まれ変われば、必然的にゴミの発生削減につながります。

アップサイクルの事例

Woman jeans bag - upcycling idea

着なくなったデニムをカバンやPCケースに

手持ちのデニムがサイズアウトしてしまったりデザインが古くなってしまったりしたときは、アップサイクルして活用しましょう。デニム生地は丈夫なので、バッグやPCケース、ポーチなどに作り直すのがおすすめです。

例えば、バッグを作る場合、まずはジーンズの裾部分を切り取り、スカート状にして、裾部分を縫い合わせます。切り取った裾部分を細い筒状にして上部に縫い付けてバッグの持ち手にすれば、出来上がりです。

デニムのアップサイクルは、長く使えるだけでなく、経年変化で味わいのある質感に変化していく意味でも楽しむことができます。

空き瓶をインテリアアイテムに

装飾、ハイグ、アロマセラピーのコンセプト

空き瓶をアップサイクルすれば、家庭ゴミを減らすことができます。ドリンクや調味料が入っていた空き瓶は色や形が豊富で、簡単にさまざまなインテリアアイテムに生まれ変わります。

例えば、長細い形状の空き瓶なら、そのまま花瓶やアロマデュフューザー・ポットとして使用できます。マスキングテープやシールなどを張ったり、紐を巻き付けたりして、アレンジするのも素敵です。ジャムなどの広口瓶なら、小さなキャンドルと芯を入れてキャンディポット・キャンドルとして活用できます。

古本や古着をアクセサリーに

古いジーンズを使ったクリエイティブな花のブローチ

捨てるしかないと思えるようなものも、アイディア次第でアップサイクルが可能です。着古した衣類は、袖口や裾などを利用すれば、ターバンやリボンに作り変えることができます。

新聞紙や古本、海洋プラスチックからも、工夫次第でアクセサリーを作ることができます。新聞紙や古本を好みの大きさに切ったり、丸めたりするなどして、それをアクセサリーのパーツとして利用できるのです。海洋プラスチックは、アイロンなどで溶かして形成すると、素敵なピアスやヘアアクセサリーパーツに生まれ変わります。

廃棄される食品ロスを活用し新たな食品に

カレー

食品分野におけるアップサイクルは、今後拡大が見込める市場で、世界的に注目を集めています。本来であれば廃棄されてしまう野菜の皮やヘタで作ったスナックや、捨てられるパンやクッキーをビールにするなど、「アップサイクル食品」が次々と生まれています。

高タンパクで、サスティナブルな食品として注目を集めている昆虫食のなかにもアップサイクルといえる商品があります。

「C. TRIA(シートリア)」は、食品ロスを餌として飼育した食用コオロギを活用。新たなタンパク質を生み出す循環型食品「サーキュラーフード」をコンセプトにした、新たな食品ブランドです。

日本では、まだ食べられるにもかかわらず、多くの食品が廃棄されており、食品ロスは世界的に深刻な問題です。「C. TRIA」のように捨てられる予定であった食品を使ったアップサイクルは、食品ロス削減に効果的といえるでしょう。

C. TRIA ブレッド

「C. TRI ブレッド」は、コオロギパウダーを生地に練り込んだ香ばしいパンです。コオロギは食品ロスをエサに育てられており、環境にやさしいサーキュラーフードとして誕生しました。カイザーロール・高菜フランス・くるみチーズ・大豆粉ロール・ごぼうフランス・こしあんフランスの6種類があります。

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ゴミとして捨てる前に代用できないか考えてみよう

持続可能な生活と園芸のアップサイクル

次々と廃棄物が発生し、最終処分場の確保が難しく環境汚染につながるなど、ゴミに関する問題は絶えません。ゴミ問題を軽減するには、社会だけでなく、一人ひとりの意識や行動が大切です。不要なものが出てきても、捨てる前にアップサイクルできないか考えてみましょう。

アップサイクルのアイディアが浮かばなかった場合も、ダウンサイクルをする、リデュース・リユース・リサイクルの「3R」を心がければ、ゴミ削減につながります。まずは、環境負荷を減らす意識を持つことが重要です。

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