実は違う「フードロス」と「食品ロス」。意味の違いや使われ方について

実は違う「フードロス」と「食品ロス」。意味の違いや使われ方について

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国連サミットでSDGsが採択されて以降、食品ロスの問題が取り上げられるシーンが増えてきました。そこで耳にする「食品ロス」と「フードロス」という2つの言葉の意味に違いがあることをご存知ですか。正しい知識をしっかりと身につけ、食品ロスについての理解を深めましょう。

INDEX

「フードロス(Food loss)」と「食品ロス」の違いは?

食品廃棄物と食費ロスの分類

食品廃棄物と食費ロスの分類

食品ロス=食べられるのに捨てられる食べ物

「食品ロス」とは、本来は食べることができるのに捨てられてしまう食品のことを指します。具体的には、「家庭や飲食店で食べきれず消費できなかった食品」「生産・加工・調理の段階で過剰に作られて余ってしまった食品」「賞味期限や消費期限が過ぎてしまった食品」などが挙げられます。

農林水産省の調査によると、令和元年度の推計で日本では570万tもの食品ロスが発生していると報告されています。

食品ロスの基本情報を詳しく知りたい方はこちら

食品ロスと食品廃棄物の違い

食品ロスには「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」があります。事業系食品ロスとは、生産者から小売店や外食産業までの間で廃棄される食品のことです。家庭系食品ロスは、家庭内での食べ残しなど、最終的な消費者が廃棄する食品のことを指します。

食品ロス以外にも「食品廃棄物」という言葉がありますが、この2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。

食品ロスは食べられるのに廃棄されてしまう食品を指すのに対し、食品廃棄物は無駄になって廃棄されてしまう食品全部のことをいいます。つまり、食べられる部分も食べられない部分も関係なく、廃棄される食品すべてが食品廃棄物になります。

「フードロス(Food loss)」「食品ロス」は意味が違う

農林水産省では、主に「食品ロス」という言葉を使用していますが、一般的に日本では食品ロス=フードロスとして使われていることが多いようです。しかし、本来のフードロス(Food loss )と、日本語の食品ロスは異なる意味を持っています。

英語でフードロス(Food loss)というと、「食べられる部分、食べられない部分にかかわらず、生産から製造や加工を経て、卸や流通までの段階で発生した食品廃棄物」を意味します。日本語のフードロスや食品ロスよりも、損失の範囲が少し異なります。

小売店や外食産業、家庭(消費者)の段階での食品廃棄は、英語ではFood wasteといいます。そのため、国際連合食料農業機関などでは、生産から消費まですべての段階での食品廃棄については、Food loss ではなく、「Food Loss and Waste」という言葉を使っています。

つまり、食品ロスは可食部の食品廃棄物、フードロス(Food loss)は生産から卸・流通までの可食部・不可食部の食品廃棄物です。

食品ロスの問題点

子どもに小さな地球を与える

環境にかかる負荷が大きくなる

食品を作るにも処分するにも、食品ロスを積み重ねればそれだけ環境負荷がかかり、資源の無駄遣いや地球温暖化などの問題が発生します。

処分品を焼却処理する際には、温室効果があるといわれているCO2が大量に排出されます。そのため、食品ロスの発生は、気候変動に大きな影響を及ぼしています。

また、焼却後に残った焼却灰などは処分場に埋め立てられていますが、このままのペースで埋め立てていくと数十年後にはゴミを埋め立てる場所がなくなってしまうともいわれています。

経済的な損失が発生する

日本の食品ロスを処分するための一般廃棄物処理費用は、年間2兆円かかるといわれています。つまり、食品ロスを出すことは環境に負荷をかけ、経済的にも大きな損失を生み出しているのです。この費用はすべて税金で賄われているため、私達国民が間接的に負担していることになります。

現在の日本の一般家庭の食費は、消費支出の約4分の1を占めています。こんなに大きな負担をしているにもかかわらず、本来食べるべき食品を廃棄してしまうことは、かなりの無駄遣いだといえます。より良い暮らしのためにも、これからは食品ロスの削減をもっと真剣に考えるべきでしょう。

食料安全保障が悪化する

食料安全保障(Food Security)とは、すべての日本国民が良質な食料を合理的な価格で安定的に入手するために国が規定した保障です。日本の食料は、食料・農業・農村基本法で、食料安全保障に関する規定が設けられています。

日本の食品ロスは、世界の先進国と比較してもそれほど多いわけではありません。ですが、食料の自給率はカロリーベースで38%であり※、62%を他国からの輸入に頼っています。そのため、世界情勢によって国民への食料の供給が大きく揺さぶられてしまう可能性があります。

このまま輸入に頼っていくことは、安定した食料の確保にはリスクであり、食料安全保障が悪化する原因になります。そこで、これからの日本の目標は、できるかぎり食品ロスを減らして自給率を高め、安定的な食料の確保を目指すことにあるといえます。

※農林水産省の調査

貧困に対する倫理的な問題がある

世界には1日1.90ドル未満で暮らしている人が7億人以上います※1。また、飢えや栄養不足で苦しんでる人々は約8億人で、栄養不足による5歳未満の発育阻害は約1.5億人います※2。先進国である日本でも貧困で苦しむ人は意外と多く、日本の文化水準や生活水準と比較すると、約6人に1人が「相対的貧困」であるといわれています。

このように、満足して食料を得ることができない人々がたくさんいる一方で、食料を無駄に捨てている状態が続いています。これは、倫理的にも問題があるといえます。

※1世界銀行の調査
※2ユニセフの調査

日本の食品ロスの総量は?

日本の青い点線地図

日本の年間食品ロスの総量は、令和元年度の農林水産省の推計で570万tにも上ります。570万tという数字は、世界全体が他国を援助している食料の約1.4倍もの量になります。

内訳は、一般家庭から出る食品ロスが261万t、食品関連事業者から出ている食品ロスが309万tになります。この数字を日本人1人当たりの食品ロス量で換算すると、年間約45kgにもなります。これは、1人が毎日お茶碗1杯のご飯を廃棄しているのと同量になるのです。

食品ロスを減らすために今日からできること

woman with food basket

食品ロスを減らす取り組みを国に頼るだけでなく、国民一人ひとりができることを少しずつでも行っていくことも大切です。例えば、「買い物では食べられる量だけを購入する」「包装資材にキズや汚れがあっても中身に問題がなければ購入する」「賞味期限に近い順番で食材を購入する」など、結構簡単に始められるものばかりです。

また、賞味期限は消費期限とは違い、期限が過ぎてもすぐに食べることができなくなるわけではありません。賞味期限が多少過ぎてもまだ品質的に問題がなければ、捨てずに消費することを検討してみましょう。

食品ロス削減に取り組む商品を手に取ることもひとつ

株式会社グリラスは、国内で食用コオロギを飼育。餌に食品ロスを活用することで循環型のフードサイクルを実現するサーキュラーフード「C. TRIA(シートリア)」を販売しています。このように食品ロスを活用した商品を積極的に購入することでも、食品ロスの削減対策に大きく貢献できます。

C. TRIA カレー トマト

「C. TRIA カレー トマト」には、コオロギパウダー・トマト・玉ねぎのうま味が詰まっています。使用されているコオロギが食品ロスをエサにしており、おいしさと環境への配慮の両方を実現しました。

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食品ロスを減らすことは私たちの生活を守ることにもつながる

世界地図を学ぶために地球を見ている少年と少女

日本では農林水産省の呼びかけによって、食品ロス削減のための対策が少しずつ推進されています。しかし、政府の試みだけでは食品ロスの問題が完全に解決できるとはいえません。

そこで、私たち一般消費者も日常的な行動の改善を行って、食品ロスを出さないように取り組んでいくことが大切です。一人ひとりの行動が、やがては気候変動の問題や世界の食料問題の抑制につながるでしょう。

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