循環型社会と3Rとは?日本における取り組みと私たちにできること

循環型社会と3Rとは?日本における取り組みと私たちにできること

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私たちの生活を将来も守るためには、循環型社会の実現に向けた一人ひとりの取り組みが重要です。「循環型社会」と聞くと難しく聞こえ、自分に何ができるのかイメージがわきにくい人もいるのではないでしょうか。循環型社会がどのような社会なのか、実現するためには何が必要なのか、順を追ってみていきましょう。

INDEX

「循環型社会」とは?

リサイクルアイコン

循環型社会とは、廃棄物の発生を抑え、排出された廃棄物は、できる限り資源として利用するシステムです。

「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減され、持続可能(サスティナブル)な形で循環させる社会」の実現を目指すため、環境省によって計画が進められています。

サスティナブルについて詳しく知りたい方はこちら

循環型社会を実現するための「3R」

循環型社会形成に必要なのが、「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」という3Rです。

リデュースは、できるだけ廃棄物を出さないようにすること。例えば、「マイバッグを使ってレジ袋は断る」「長く使える丈夫な製品を作り販売すること」「メンテナンス体制を整え製品寿命を延ばすこと」などがリデュースに当たります。

リユースは、製品などの再利用を繰り返し、廃棄物の発生を抑えること。「着なくなった衣類や家具、家電をフリーマーケットで販売すること」「中古品を購入すること」などは、リユースに当てはまります。

リサイクルは、廃棄物を資源やエネルギー源にして活用する“再利用”を指します。例えば、「ペットボトルからはサイクル繊維が作られ、衣類にすること」「新聞紙や牛乳パックからトイレットペーパーを作ること」などです。

循環型社会を形成する必要性

大量生産や大量商品の結果、廃棄物が大量に排出される社会が当たり前になっていた20世紀。経済成長にはつながりましたが、生産に必要な天然資源の枯渇、廃棄物による環境破壊、廃棄物処理場の不足など、現状としてさまざまな重大な問題に直面することとなりました。資源や環境に関する問題は、世界的にも早急に対策を講じなければならない課題です。


資源消費量が今まで通り拡大し続けると、2030年には地球2つ分に相当する資源が必要になると言われています。そのため、今すぐにでも、循環型社会への転換が求められているのです。

循環型社会を実現するための日本の取り組み例

3R- REUSE REDUCE RECYCLE

循環型社会の形成は国家レベルで取り組まなければ、実現は難しいでしょう。そこで、日本政府は、新たな法律を作るなどして、実現に向けて動いています。

国連が推進している持続可能な開発目標(SDGs)についてはこちら

廃棄物の特性に応じた規制の試行

日本政府では、循環型社会を形成するために、さまざまな法令を定めています。そのうちの1つが「リサイクル法」です。「容器包装リサイクル法」「家電リサイクル法」「食品リサイクル法」「建設リサイクル法」「自動車リサイクル法」など、廃棄物ごとに適切な分別回収や再資源化、再利用について定められています。

例えば「食品リサイクル法」は、飲食店や食品メーカーなどの事業者で発生する食品廃棄物を資料や肥料に再利用するなどの規定を設け、廃棄物の発生を抑えます。また、廃棄物を年間100t以上発生している事業者に関しては、再利用の促進を義務付けています。

「プラスチック資源循環戦略」の策定

2018年6月19日に閣議決定された「第四次循環型社会形成推進基本計画」に、「プラスチック資源循環戦略」を策定することが組み入れられました。

この戦略では2030年までに使い捨てプラスチック製品「ワンウェイプラスチック」の排出を累積25%削減することや、容器包装の6割をリユース・リサイクルすることなどを中間目標として設定しています。

戦略策定の背景の1つに、海を漂うプラスチックゴミ「海洋プラスチック」による環境汚染が世界的問題となっていることがあります。そこで、2018年のG20大阪サミットでは、2050年までに海洋汚染をゼロとすべく、日本政府は途上国の廃棄物管理技術の構築やインフラ整備などに対して支援することを発表しました。

循環型社会の形成に向けた各業界の取り組み

衣類のラベルとリサイクルされた青いジーンズ

各業界も循環型社会の形成に貢献すべく、さまざまな取り組みを行っています。4つの業界それぞれがどのように取り組んでいるのか、みていきましょう。

食品業界

食品業界が抱える問題の1つに食品廃棄があります。日本国内だけでも、食べ残しや売れ残り、調理工程に出る食品カスなどの食品ロスを年間約570万tも排出※1。そのうちが飲食店やメーカーなどの事業者によるものです55%※2。

そこで、食品業界ではサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行が始まっています。サーキュラーエコノミーとは、廃棄物を資源として活用する仕組みのことです。食品業界では、余った食品を捨てずに活用し、サービスとして展開するようになりました。例えば、余った食材で特別メニューを作って提供したり、余ったお弁当が宅配されたりしています。

※1 ※2 農林水産省の調査より

サーキュラーエコノミーに関して詳しく知りたい方はこちら

建設業界

建設業界では、住宅を作っては壊すことが当たり前でした。住宅建設時や解体時に廃棄物が発生するため、環境問題や資源の枯渇問題が深刻となっている今、方向性の転換が必要となっている分野です。

中古住宅の流通やリフォームの促進など、既にある住宅を壊さずに活かすことで、循環型社会の形成を目指しています。

また、建設時に利用する木材などは再利用可能な原材料を使用するなど、サーキュラーエコノミーへの移行は建設業界でも見られます。

メーカー・製造業

メーカーや製造業界では、解体しやすい設計を導入して製品のパーツなど再利用が積極的に行われています。

また、ビッグデータとAIを活用して、製品需要を予測することで廃棄物の発生を削減しています。製品の需要がどのくらいあるのか予測できるようになれば、必要以上に原料を調達して、売れずに余ってしまった分を破棄するといった事態が防げます。さらに、原料の過調達を防ぐことで、資源の消費量抑制が可能です。解体しやすい設計を導入して製品のパーツなど再利用も積極的に行われています。

環境問題や資源の枯渇といった問題解決のために、部品を海外から輸入出する際は他社と共同輸送を実施。輸送時にかかるエネルギーを抑制するといった取り組みも行っています。

エネルギー業界

エネルギー業界では、循環型社会の形成ために、バイオマスエネルギーの活用が注目されています。バイオマスエネルギーとは、食品廃棄物や家畜排せつ物、汚泥などを再利用して熱や電気、ガスなどを発生する方法です。

バイオマスエネルギーは廃棄物の発生を抑えるだけでなく、地球温暖化対策にも効果的だと言われています。バイオマスエネルギーを燃焼したときに発生する二酸化炭素排出量は、植物が吸収可能な量であり、地球温暖化の進行を食い止めることにつながります。

循環型社会を実現するために個人でできること

廃棄物ゼロのコンセプト

なにかモノを購入する際、環境型社会の実現につながるかどうかを基準に商品を選ぶと、環境型社会の形成に貢献できます。購入時には次の3つの視点を基準にするとよいでしょう。

環境ラベルの付いた商品を選ぶ

「エコマーク」「バイオマスマーク」など、自然環境に配慮したことがわかる商品を選べば、循環型社会形成に貢献できます。

リサイクル資源を正しく分別すれば、回収された後に、適切なリサイクルルートに乗せて資源として再利用されます。例えば、「再生紙使用(R)マーク」が付いた商品は、古紙を活用して作られています。そのため、環境ラベルの付いた商品を選ぶことはもちろん、ゴミを正しく分別することも非常に大切です。

包装材が少ない商品やエコパッケージの商品を選ぶ

包装材が少ない商品やエコパッケージの商品を選ぶことで、無駄なゴミの発生を防げます。

実は、プラスチック容器のリサイクル率はたった9%で※、ほとんどがゴミとして廃棄されています。そのため、循環型社会の実現のためには、他の資源に再生されやすい紙の製品や、再利用率が高い瓶や缶に入った製品を選ぶことが大切です。

洗剤やシャンプーなどプラスチック容器に入った製品であっても、詰め替え用の商品を選ぶことでプラスチックゴミの発生を減らすことができます。食品は個別包装されていないものを選びましょう。

※米国科学振興協会(AAAS)SCIENCE ADVANCESより

サーキュラーフードを購入する

食品ロスを他のおいしい食品にアップサイクルすることで誕生した循環型食品「サーキュラーフード」を購入することも、循環型社会の形成に役立ちます。

株式会社グラリスが立ち上げたサーキュラーフードブランド「C. TIRA(シートリア)」は、食品ロスを餌に食用コオロギを育成、そのコオロギを粉状にした「グリラスパウダー」を使い、見た目にも美味しいクッキーやパンを開発しました。

コオロギなどの食用の昆虫は、良質な脂肪やタンパク質が豊富で、カルシウム・鉄・なども亜鉛も含む高栄養食品です。今後起こると予想されている人口の急激な増加による食糧不足の改善や食品ロスの削減に有効だと注目を浴びています。

C. TRIA クッキー

ビターなココアと個性的なハーブ&ガーリックの2種類の味を楽しめるクッキーです。コオロギの香ばしい風味も魅力。食品ロスをエサとして育てられたコオロギを使用しており、おいしさと環境への配慮の両方を追求しました。

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C. TRIA ブレッド

生地の発酵と相性の良いコオロギコオロギパウダーを使った、香ばしさと深い旨味を楽しめるパンです。C. TRIA クッキーと同様に、食品ロスをエサとして育てられたコオロギが使わています。カイザーロール・高菜フランス・くるみチーズ・大豆粉ロール・ごぼうフランス・こしあんフランスと、6種類の味をお楽しみいただけます。

数量
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その他のサーキュラーフードはこちら

未来の環境を守るために3Rを意識することから始めよう

World environment day concept

私達が循環型社会を作るためにまずできるのは、「リデュース」「リユース」「リサイクル」の3Rに取り組むことです。

今までの大量生産・消費・廃棄する社会を続けていくと、近い将来地球の資源は枯渇してしまいます。循環型社会を形成し、地球の環境を守るためには、一人ひとりが毎日の生活の中での意識や行動を変えていくことが必須です。3Rを合言葉に、循環型社会を実現させましょう。

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