
- 食料問題・地球環境
- 2021.12.23
サーキュラーエコノミーとは?言葉の意味・市場規模・取り組みについて
「サーキュラーエコノミー」という言葉を知っていますか。サーキュラーエコノミーとは、これからの私達の生活を守るために、日本も世界も実現に向けた努力が求められている経済モデルです。注目されている理由や実現に向けた取り組みなど、サーキュラーエコノミーについてわかりやすく解説していきます。
INDEX
- 「サーキュラーエコノミー」とは?
- サーキュラーエコノミーの定義
- 持続可能な社会・循環型社会との違い
- サーキュラーエコノミーの3原則
- サーキュラーエコノミーが注目されている理由
- 環境問題・資源不足が深刻化している
- 新しい経済モデルと競争力の強化が求められている
- サーキュラーエコノミーの市場規模と今後の展望
- サーキュラーエコノミー実現のための世界・日本の取り組み事例
- EU:「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」で法的規制
- 日本:経済産業省『循環経済ビジョン2020』を発表
- 日本:「フードテック官民協議会」の立ち上げ
- サーキュラーエコノミーの実現に向けて個人でもできること
- サーキュラーエコノミーでないものは使用しない
- 個人商店で買い物をする
- 自然由来の建材で家を建てる
- サーキュラーフードを購入する
- C. TRIA ブレッド
- C. TRIA クッキー
- サーキュラーエコノミーは今後スタンダードな経済モデルになる
「サーキュラーエコノミー」とは?

サーキュラーエコノミーの定義
サーキュラーエコノミーとは、日本語では「循環型経済」と呼ばれ、すべての資源を廃棄せず、使用し続ける循環型の経済モデルです。
産業革命以降250年間、資源を発掘し、生産、そして破棄するというリニアエコノミーで経済が動いていました。しかし、リニアエコノミーは大量生産・大量消費・大量廃棄を生み出してしまいました。
サーキュラーエコノミーでは、大量生産・大量消費・大量廃棄をなくす「削減(Reduce)」「再利用(Reuse)」「再生(Recycle)」の3Rをベースとしつつ、「廃棄物排出と汚染をさせない」ことを前提としています。
持続可能な社会・循環型社会との違い
サーキュラーエコノミーと似ている考え方に「持続可能な社会」「循環型社会」があります。
循環型社会は、発生した廃棄物を再生させて循環させる経済モデルを意味します。一方で、サーキュラーエコノミーは、商品やデザインを設計する段階で廃棄の必要がなかったり、長期的使用をしたりすることを考慮した経済モデルです。廃棄物が発生するか否かという点で、サーキュラーエコノミーと循環型社会は似て非なるものといえます。
循環型社会について詳しく知りたい方はこちら↓

循環型社会と3Rとは?日本における取り組みと私たちにできること
私たちの生活を将来も守るためには、循環型社会の実現に向けた一人ひとりの取り組みが重要です。「循環型社会」と聞くと難しく聞こえ、自分に何ができるのかイメージがわきにくい人もいるのではないでしょうか。…
持続可能な社会とは、今ある環境を持続させることを考慮した上で、現在の世代が求めているものを提供できる開発を行う社会のことを指します。サーキュラーエコノミーや循環型社会よりも、さらに大きな概念で考えられている経済モデルで、いずれもイコールとはいえません。
持続可能な社会(サスティナブル)について詳しく知りたい方はこちら↓

サスティナブルとは? 持続可能な社会のために私たちができること
人口急増や地球温暖化など、人類が豊かに生存し続けるための地球環境は限界に達しつつあります。そこで今世界が目指しているのが、「サスティナブルな社会」です。…
サーキュラーエコノミーの3原則
サーキュラーエコノミーには、イギリスにある国際的なサーキュラーエコノミー推進機関「エレン・マッカーサー財団」が示す3原則があります。
・Design out waste and pollution(廃棄物と汚染を生み出さないデザインを行う)
・Keep products and materials in use(製品と原材料を可能な限り循環させ、使い続ける)
・Regenerate natural systems(自然システムを再生させる)
参考:ELLEN MACARTHUR FOUNDATION「What is a circular economy?」
3Rを前提とした設計を行った上で、製品寿命を伸ばすメンテナンスを重ね、製品をできるだけ長く利用できることを目指します。また、生産者側は、使用できなくなった製品を自主回収してリサイクルを行い、できる限り新しい資材を投入せずに製品生産を行います。
サーキュラーエコノミーが注目されている理由

環境問題・資源不足が深刻化している
サーキュラーエコノミーが注目を集めている背景として、環境問題や資源不足が深刻化していることが挙げられます。
世界的な人口増加や飛躍的な経済成長により、現在、資源・エネルギー・食料への需要は増加の一途をたどっている状態です。その一方で、廃棄物の増加・地球の温暖化・海洋プラスチックなどの環境問題なども深刻化しています。産業革命以降続いた大量生産・大量消費・大量廃棄を生み出すリニアエコノミーは限界に来ているといえます。
環境問題・資源不足を解決するためにもサーキュラーエコノミーが注目されています。
新しい経済モデルと競争力の強化が求められている
今世界的に社会から環境に配慮すべきという意識が高まっており、環境に配慮することは必須課題となっています。しかし、同時に経済を成長させることも重要です。廃棄物を出さないことを前提としたサーキュラーエコノミーを導入すれば、今まで不可能だと言われていた経済と環境の利益が一致します。
民間の研究機関であるアクセンチュア株式会社は、「サーキュラーエコノミーによって持続可能性を維持したまま経済活動ができる」と指摘しました。
参考:『サーキュラー・エコノミー:デジタル時代の成長戦略』(日本経済新聞出版社)
現代はデジタル技術が進歩していることもあり、中長期的に見て企業の競争力を強化しながら新しい経済モデルを発展させることも可能です。
サーキュラーエコノミーの市場規模と今後の展望

サーキュラーエコノミーに転換することで、2030年までに4兆5,000億ドルもの経済価値を生み出すことが期待されています。サーキュラーエコノミーでは、今は使われていない空き物件や自動車などの遊休資産も循環するとされており、私達の生活にも影響が生まれると予測されているのです。
そして、シェアリングエコノミーの市場規模は、2022年までに402億米ドルに上るとされています。シェアリングエコノミーは、サーキュラーエコノミーの一部で、モノやスキルを個人間で取引するビジネス形態です。
先行企業がいち早くサーキュラーエコノミーやシェアリングエコノミーにフィットしたビジネスモデルを打ち出し、消費者のニーズに応えていけるかが今後のカギとなるでしょう。
サーキュラーエコノミー実現のための世界・日本の取り組み事例

EU:「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」で法的規制
2015年12月、EUはサーキュラーエコノミーを実現させるために、欧州グリーンディール政策プログラムの1つとして「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を採択しました。
食品廃棄物を削減するために、EU共通の測定方法を開発したり、賞味期限表示を改良したりと、SDGsのターゲットの1つ「2030年までに食品廃棄物を半減させる」を達成するための行動指針を定めています。また、2030年までに都市廃棄物の65%、包装廃棄物の75%をリサイクルすることや、全埋め立て廃棄物を最大10%削減するなど、具体的な目標を掲げて規制を行っています。
「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」によりEUの企業で6000億ユーロを節約できるほか、58万人もの雇用を作り出せると想定されています。
日本:経済産業省『循環経済ビジョン2020』を発表
2020年5月に経済産業省は、「循環経済ビジョン2020」を発表しています。これまで日本政府は食品リサイクル法や循環型社会形成推進基本法で3R政策を推進してきましたが、循環経済ビジョン2020によって、サーキュラーエコノミーを国全体で推進していくことになりました。
実際に、毎年経済産業省が発表している「経済産業政策の重点」の2021年度版では、デジタル・グリーン・健康/医療・レジリエンスの4点が重点政策とされています。具体的には循環を可能にする製品企画へのアップデートや、プラスチック・繊維・CFRP・バッテリー・太陽光パネルの構築支援、再生材市場の創出などです。
その他にも、農林水産省では納品期限の緩和や賞味期限表示の改良など、賞味期限延長に関する取り組みが、環境省ではサーキュラーエコノミーの取り組みを行う企業に投融資を呼び込めるよう検討を行う研究会が実施されています。
日本:「フードテック官民協議会」の立ち上げ
2020年10月、産学官連携で「フードテック官民協議会」が立ち上げられました。この協議会は食品や農林水産業の発展、食品安全保障の強化など、日本のフードテックを発展・進化させることを目的としています。
フードテック官民協議会のワーキングチームとして発足されたサーキュラーフード推進ワーキングチームでは、2040年までに日本の食品ロス253万tを活用・循環させることを目指すと発表しました。サーキュラーフードとは、新技術を用いて食品ロスを循環・活用し、生産される食材や食品のことです。
さらに、2021年7月にはフードテックを推進する新事業である食品産業政策課が新設されています。
フードテックについて詳しく知りたい方はこちら↓

今、フードテックが注目されているのには理由がある!
世界で食料不足や食品ロスなどが懸念されるなか、最先端のテクノロジーを利用して、食の持つ可能性を広げていく「フードテック」に注目が集まっています。日本政府も、フードテックを成長産業としてサポートしていくことを明らかにしました。…
サーキュラーエコノミーの実現に向けて個人でもできること

サーキュラーエコノミーでないものは使用しない
「サーキュラーエコノミーでないもの」と聞いてもピンと来ないかもしれません。まずは、サーキュラーエコノミーになっているものを知るところから始めましょう。
例えば。資料のペーパーレス化やマイボトルの持参はサーキュラーエコノミーに該当します。プラスチック製品を購入する際は、土壌や水中で分解される生分解性素材を使用したものを選ぶというのも、サーキュラーエコノミーなものを使用することになります。
個人商店で買い物をする
大型スーパーでまとめて買い物をするという楽さもありますが、個人商店で買い物をするとサプライチェーンが短くなるため、サーキュラーエコノミーの実現につながります。
また、個人商店であればパッケージフリーでの購入が可能な場合も多いため、廃棄物を生み出さない経済活動ができるでしょう。
自然由来の建材で家を建てる
安さや速さに重点を置いた家づくりには、塩化ビニールやポリエステルなどのプラスチック・化学合成接着剤・塗料を使ったものが使用されてきました。
しかし、このような人口的な建材を使わず、自然由来の建材で家を建てることもサーキュラーエコノミーの実現につながります。近年、木造建築の建物が注目されている、と聞いたことがあることが人も多いのではないでしょうか。
サーキュラーフードを購入する

サーキュラーフードを購入することも、簡単にできる食品ロスを削減するための取り組みです。
例えば、現在注目を集めているのが、「C. TRIA(シートリア)」のコオロギフードです。コオロギは、タンパク質が豊富で良質な脂肪が含まれており、カルシウム・鉄・亜鉛なども含んでいます。C. TRIAは食品ロスを餌として作られた粉末状のコオロギで、次世代のタンパク質「グリラスパウダー」を使った商品です。
昆虫食と聞くと抵抗を持つ人もいるかもしれませんが、コオロギは「陸のエビ」とも呼ばれるほど風味も豊か。C. TRIAのようにパウダーを使用し一見すると昆虫食とはわからない商品もあります。深刻な食糧不足を解決するためにも、サーキュラーフードを試してみてはいかがでしょうか。
C. TRIA ブレッド
コオロギの香ばしさと6種類の味が楽しめる「C. TRIA ブレッド」。自社ファームで育ったコオロギが使用されており、普段の食事にサーキュラーフードを取り入れられます。
C. TRIA クッキー
ココア味とハーブ&ガーリック味という異色の組み合わせのクッキーです。コオロギパウダーが練り込まれており、コオロギの香ばしい風味も楽しめます。美味しいおやつとして手軽にサーキュラーフードを試してみませんか?
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Gryllus Online - グリラスオンライン|グリラス公式通販
グリラス公式オンラインストア。フードロスからコオロギを育て新たなタンパク質を生み出すサーキュラーフードブランドC. TRIA(シートリア)を展開中。「未来の循環食」を是非お楽しみください!
サーキュラーエコノミーは今後スタンダードな経済モデルになる

従来のリニアエコノミーに限界が訪れている今、世界ではサーキュラーエコノミーが推進され、スタンダードな経済モデルにしようとさまざまな取り組みが行われています。日本はサーキュラーエコノミー後進国になりつつありますが、「循環経済ビジョン2020」や「フードテック官民協議会」など国を挙げてのサーキュラーエコノミーへの取り組みも始まり、行動に移す企業も増えてきました。
今後はサーキュラーエコノミーがスタンダードな経済モデルになると考えられます。サーキュラーエコノミーの実現に向け、まずは個人でもできることから始めてみましょう。