サスティナブルフードが生まれた背景と商品事例

サスティナブルフードが生まれた背景と商品事例

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数年前からサスティナブルという言葉を耳にするようになりました。あらゆる業界でも持続可能な社会を作るための取り組みが重視されています。でもサスティナブルフードについては、いまいちピンとこないという人も多いのではないでしょうか。そこで、サスティナブルフードが生まれた背景や、サスティナブルフードにはどんなものがあるのか紹介します。

INDEX

サスティナブルフードとは

食べ物

「サスティナブル」とは英語のsustain(持続する)とable(〜できる)を組み合わせた造語で、「持続可能な状態」を意味します。つまり「サスティナブルフード」とは、持続可能な食生活の実現のために、環境や人権などさまざまな側面に配慮し作られた食べ物のことです。

合わせてお読みください↓

食に関する社会問題が背景にある

野菜を捨てる

サスティナブルフードの背景にはさまざまな社会問題があり、特に食品ロス・環境問題・人権問題が深くかかわっています。飽食といわれる現代が抱えるこれらの問題について、それぞれ解説します。

1.食品ロス問題

食品ロスとは、本来はまだ食べられるのに、さまざまな事情により捨てられてしまった食品のこと。食品ロスは、日本人一人当たりに換算すると年間約45kg発生しているといわれており、一人当たり毎日お茶碗1杯分のごはんを廃棄していることになります※1。さらに、無駄にしているのは食品だけではありません。廃棄するのにも膨大なエネルギーが必要です。日本で廃棄された食品を焼却するのにも、年間1兆円近い費用がかかっているのです※2。

そもそも食べ物を作り、販売するのには多くのエネルギーが必要です。野菜や肉など食べ物を育てるためのエネルギー、そしてそれを工場へ運ぶためのエネルギー。さらに工場で加工するためにもエネルギーを使いますし、工場からお店に運ぶのにも多大なエネルギーを使います。これだけ多くのエネルギーを消費して出来た食品を食べずに捨ててしまうことは、それだけのエネルギーを無駄にしているということになるのです。

※1…農林水産省「食品ロスとは」
※2…科学技術振興機構「「食料不足」と「食品ロス」 〜今、世界と日本の食料問題を考える〜」


食品ロスについて詳しく知りたい人はこちら↓

2.環境問題

食品ロス以外にも、地球に影響を及ぼす原因があります。作物の成長を促すため多量に肥料を使い、土壌汚染を引き起こすこともその一つです。陸での汚染は川や海にも影響するので、水産物の収穫量の低下を招きます。また、家畜の飼育には広大な放牧地だけでなく、家畜たちの餌となる穀物の栽培用地も必要となるため、畜産のために大規模な開拓・伐採が行われています。これにより、森林破壊が深刻化しているのです。

3.人権問題

発展途上国の生産者のなかには、不利な条件で働かされ、わずかな賃金しか得られない人も多くいます。発展途上国では、家畜の餌となる穀物が広く栽培されていますが、トウモロコシの生産量のうち6割、小麦は2割が飼料用途として生産されており、さらに飢餓に苦しむ子どもの多くが、家畜のために穀物を育てているという事実もあります。

サスティナブルフードは、食品ロスが多い一方で、飢餓に苦しむ人々もいるという食の不均衡問題を解決する食べ物になり得るのです。

※…三井物産戦略研究所「戦略研レポート 世界の穀物需要の行方」(2017年)

サスティナブルフードの具体例

オーガニックファーム

オーガニック食材

オーガニックとは、農薬や化学肥料に頼らず自然の恵みで作物を栽培することで、日本では有機栽培ともいわれています。国際有機農業運動連盟(IFOAM)では、以下の4つの原理を満たしたものがオーガニックであるとしています。

・生態系…作物の良好な成長に欠かせない生態系を壊さないこと
・健康…健康な食べ物を作るためには、美しい自然環境が必要であること
・公正…オーガニックにかかわるすべての消費者・生産者・動物が公正な立場にあること
・配慮…すべての生命がより良く生きられるよう配慮された技術のみを使うこと

オーガニックの種類は、野菜・肉・豆・コーヒーなどさまざまです。農薬や化学肥料を口にしないことから、発がんリスクの低下など、健康面でのメリットもあると考えられています。

フェアトレード商品

公正な貿易製品

日本では、発展途上国で生産された日用品や食料品が驚くほど安い価格で販売されています。しかし生産国ではその安さを生み出すため、正当な賃金が生産者に支払われなかったり、生産性を上げるために必要以上の農薬が使用されたりし、環境破壊や健康被害といった問題が表面化しています。

そこで、発展途上国の原料や製品を、適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い発展途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易構造が作られました。これをフェアトレードといいます。基準をクリアしたものにはフェアトレード認証ラベルがつけられます。フェアトレードの製品には、コーヒー・チョコレート・スパイス・コットンなどがあります。

代替肉(プラントベースミート)

プラントベースフード

植物性の原料を使用して作られた代替肉は、プラントベースミート・オルタナティブミートやフェイクミート、ベジミートなどさまざまな呼び方がありますが、すべて大豆・小麦(グルテン)・エンドウ豆の3つを主原料としています。

代替肉は、人口増加による食料問題や環境問題など、地球全体が抱える問題を解決する食べ物として近年期待が高まっており、新たな食の選択肢として推進されています。製造方法は、原料を加熱・加圧し、タンパク質を繊維状にし実際の食肉加工のように使いやすい形に成型するなどさまざま。味や食感は本物の肉に近く、調理においても幅広く活用できます。

サスティナブル・シーフード

水産資源は、適切な量を超えて獲り続けてしまえば資源状態の悪化や生態系の崩壊を招き、将来同じように食べることができなくなってしまうといわれています。事実として、現在世界の魚の3割が、獲りすぎの状態にあります。

サスティナブル・シーフードとは、水産資源を健全な状態に保ち、これからも私たちが豊かな海の恵みを味わうために行われている取り組みによって得られた水産物です。サスティナブル・シーフードには「天然」と「養殖」の2つの種類があり、それぞれには認証マーク「海のエコラベル」がつけられます。

経産牛やオス肉を使用

一般的に、出産を経験した経産牛は肉質が硬いため、食用としてはあまり好まれません。しかし経産牛は適切に飼育し直せば、食肉用として活用できる牛です。味が濃くて食べ応えがあるため、経産牛をサスティナブルフードとして取り入れ、食材の無駄をなくしているレストランもあります。

また世界では、成熟する前に殺されてしまうオス肉にも、価値をつけて食べようとする取り組みが行われています。

パッケージフリーで環境保護

買い物する女性

パッケージフリー・プラスチックフリーで環境保護を目指す活動も始まっています。最近では、お米・ナッツ・穀物・オイル・コーヒーなどを量り売りするお店も増えており、消費者は持参した容器に食べ物をそのまま入れて持ち帰ることができます。量り売りには、プラスチックごみを減らすだけでなく、商品を詰め替える手間を省けるといったメリットがあります。

普段の買い物でも、農園の直売所やスーパーのバラ売りで野菜を買ったり、市場で魚を買ったりすることで、パッケージフリー・プラスチックフリーが実現します。マイバッグやマイかごの持参を心がけましょう。

土地を有効に使った農園

森林伐採を行わず、ビルの屋上や工場跡地など限られた土地を有効活用した農園でできた食べ物も、サスティナブルフードです。なかにはオーガニック栽培で作物を育てている農園もあり、人の体にも、地球環境にも優しいサスティナブルフードが生産されています。

昆虫食

コオロギ

今、高タンパク・低脂質のサスティナブルフードとして昆虫食が注目されています。昆虫は肉や魚に比べタンパク質の含有量が多く、高タンパクのイメージが強い鶏ムネ肉のタンパク質含有量が100gあたり25gに対し※、グリラスの粉末コオロギ「グリラスパウダー」は100g当たり約76gという高いスコア。さらに、亜鉛・鉄分・カルシウム・マグネシウム・ビタミン・オメガ3といった、体に必要な栄養素を数多く含んでいるので、昆虫は次世代のタンパク質になり得る食材だといえるのです。

さらに昆虫は、家畜に比べ飼育時の環境負荷が低い上に、短期間で大量に生産できます。さまざまな社会問題を抱える現代の食に変革をもたらし、未来の食を支えるサスティナブルフードとして、普及が期待されています。

※日本食品分析センターにて分析(平均)

C. TRIA(シートリア) カレー 3食セット

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コオロギは、地球規模のフードサイクルを構築しうる循環型の食品として活用が期待されています。グリラスは、コオロギの可能性を社会に実装することを目的としたフードテックベンチャーで、コオロギをパウダー状に加工したグリラスパウダーを使用した食品を販売しています。

「 C. TRIA カレー 3食セット」には、廃校を活用して開いたグリラスの生産拠点、美馬ファームで作られたグリラスパウダーと大豆ミートが使われています。スパイスのコク深さとコオロギの香ばしさが美味しい、身近なサスティナブルフードです。

サスティナブルフードを意識した食事を心がける

地球

オーガニック食材や代替肉などについて聞いたことがあった人も多いと思いますが、サスティナブルフードを選ぶことで自分や家族の健康や地球の環境も守ることができます。毎日の食材を少しずつ見直して、食事を変えてみてはいかがでしょうか。

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