温室効果ガスとは?地球温暖化の影響と発生抑制のために家庭でできること

温室効果ガスとは?地球温暖化の影響と発生抑制のために家庭でできること

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地球温暖化の原因といわれる温室効果ガスですが、具体的にどのようなものなのかご存知でしょうか。

今回は、温室効果ガスの種類や削減のために家庭でできることをわかりやすく紹介します。地球温暖化による地球への悪影響についても、あわせてみていきましょう。

INDEX

温室効果ガスとは

温室効果ガスとは、大気中に含まれている二酸化炭素やメタンなどのガスの総称で、「温室効果」という地表を温める働きがあります。温室効果とは、ガスが太陽からのエネルギーによって温められた地表が放出する熱を吸収し、再び放射して地表の大気を温めることによって、気温が上がる現象です。

温室効果ガスによって地球の温度は適切に保たれていますが、ガスの濃度が増加すると気温が大きく上昇し、さまざまな環境問題を引き起こします。温室効果ガスは、主にエネルギーを生み出す際に使われる化石燃料の燃焼で発生するため、増加を抑制するためにはエネルギー消費や廃棄物発生を抑えることが大切です。

日本の温室効果ガス排出量は、2019年では12億1,200万t。再生可能なエネルギーを導入するなどの対策を講じ、2005年度から12.3%の削減を達成、温室効果ガス抑制を実現できました※。

※国立環境研究所より

温室効果ガスの種類

人間活動によって排出される温室効果ガスには、主に二酸化炭素・一酸化二窒素・メタンガス・フロンガスの4種類があります。

温室効果ガス総排出量に占めるガス別排出量
二酸化炭素 76.0%
一酸化二窒素 6.2%
メタン 16.0%
フロン類 2.0%

※南房総市 建設環境部環境保全課

二酸化炭素

二酸化炭素発生の原因は、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料の燃焼によるものです。電気を生み出したり、航空機や車などの乗り物を動かしたりするときに多くの化石燃料が燃やされ、大気中に放出されています。

温室効果ガスのうち二酸化炭素が占める割合は約7割にものぼり、二酸化炭素の排出量と気温上昇は比例関係にあると考えられています。そして、地球温暖化に及ぼす影響が最も大きい温室効果ガスといわれています。

一酸化二窒素

一酸化二窒素は、二酸化炭素やメタンなどに比べて大気中濃度が低いものの、地球温暖化指数が高く、二酸化炭素の310倍もの温室効果を持っています。さらに、太陽が発する有害な紫外線(UV-B)から守るオゾン層を破壊する要因の1つでもあります。一酸化二窒素は燃料の燃焼だけでなく、農地に散布された窒素肥料からも発生します。

メタン

温室効果ガスのうち、二酸化炭素の次に多いのがメタンです。温室効果ガスの約15%を占め、二酸化炭素の21倍の温室効果があります。

メタンは、下水汚泥や家畜の糞尿の分解過程や、天然ガスの生産時などにおいて発生します。また、家畜のげっぷにもメタンが含まれており、地球温暖化の要因の1つとなっています。そのため、世界では肉食を減らす運動が広がっており、ソイミートや昆虫食など、肉に替わるタンパク源の食品開発が進んでいます。

フロン(代替フロン類)

フロンは、燃えにくく、分解しにくいといった性質を持つ上、人体への害が少ないため、スプレー類に使われるほか、冷蔵庫やエアコンなどに搭載されている冷媒として使われてきました。

フロンは地球温暖化だけでなく、オゾン層を破壊する原因として問題になっています。そのため、フロンの1つであり、オゾン層破壊物質であるCFC(クロロ・フルオロ・カーボン)は1960年に、HCFC(ハイドロ・クロロ・フルオロ・カーボン)は2020年に生産終了となりました。現在使用されている代替フロンHFC(ハイドロ・フルオロ・カーボン)は、オゾン層を破壊しませんが、二酸化炭素の数百から数万倍もの温室効果があります。

温室効果ガスによる地球温暖化が環境に与える影響

海面が上昇する

地球温暖化によって海面が上昇する理由は、主に2つあります。1つは、陸上の氷や氷河が溶けて海に流出するため、海水が増えてしまうこと。もう1つは、海水の温度が上昇すると、水分に含まれる原子や分子の間隔が広がり、体積が膨張することです。

海面上昇の影響で、キリバスやツバルなどの小さな島国などでは、国土が海に沈み、消失する危機に直面しています。また、海抜0m地帯(かいばつゼロメートルちたい)では、海岸堤防などで従来防げていた高潮を防げなくなる恐れがあるといわれています。

生態系が破壊される

地球温暖化による気候変動の影響を受けて、多くの生物が順応できずに絶滅の危機にあり、生態系の破壊が進んでいます。

生態系の破壊は、大きな悪循環を生み出します。例えば、地域に生息していた植物がなくなれば、その植物をエサとしていた草食動物は生きられなくなり、さらに草食動物をエサとしていた肉食動物も生きることができません。

実際にホッキョクグマは、気温の上昇により北極の氷が溶けて住む場所や食料であるアザラシを失い、絶滅の危機に瀕しています。地球温暖化の影響で絶滅する可能性がある野生生物は、2020年に4,000種類を超え、今後さらに増加していくといわれています。

死亡率や伝染病が増加する

地球温暖化により夏の温度が高い期間が増加すると、熱中症や熱射病の発生率が高まり、現在よりも熱射病などの死亡率も増加するでしょう。

また、熱帯地域でしか発生していなかった伝染病が、より広い範囲で流行する恐れがあるという調査結果があります。特に、死亡率が高いマラリアの増加が懸念されており、最悪の場合、2100年には、中国北部や韓国、そして西日本一帯でもマラリアが流行する可能性があるといわれています。

食料難や飢餓が広がる

地球温暖化による気温の上昇や降水量の変化は、農業に大きな影響を及ぼします。雨が降らなかったり洪水が増えたりと気候が変わると、農作物が取れなくなり、食料難になる可能性があります。また、気候が変わることで、動物が暮らす環境も変わり、肉や魚が獲れなくなることも考えられます。

そのため、地球温暖化が進むと食料危機による飢餓の拡大が懸念されています。特にアフリカ諸国は食料の生産性が下がり、大きな影響を受けると予想されています。

温室効果ガスを減らすために家庭でできること

電気・ガスの使用量を減らす

日本の電力の大半は、化石燃料を燃やして生み出す火力発電に頼っているため、ガスや電気の使用量も減らすことが大切です。特に、家庭からの二酸化炭素排出量の多くは、電気の使用が起因といわれています。

そこで、日常生活で消費電力の削減を意識することが、温室効果ガス削減に役立ちます。例えば、電気をこまめに消す・冷暖房を過度に使用しない・シャワーのお湯を出しっぱなしにしないなど、節電やガス節約につながる具体的な行動を書き出すと良いでしょう。普段、いかに電気を無駄遣いしているかが明確になる上、節電する意識が身に付きます。

マイバッグ・マイボトルを使う

買い物時にマイバックを持参してレジ袋や持ち帰り用の袋は使用しない、マイボトルに飲み物を入れてペットボトル飲料を買わないといった行動も地球温暖化防止に貢献できます。

ゴミを燃やすときには二酸化炭素が発生するため、ゴミの量が増えれば増えるほど二酸化炭素の排出量が増加します。そのため、使い終わったら捨てられてしまうレジ袋やペットボトルの利用を減らせば、二酸化炭素の排出の削減につながります。

なるべく公共交通機関や自転車を利用する

自家用車の使用を控えて、公共の交通機関や自転車を使うだけで、二酸化炭素の排出を大幅に減らせます。例えば、車の使用を控えれば、1日で100gの二酸化炭素削減につながります。週に2日間、往復8kmの車の運転を控えるだけで、二酸化炭素の排出を年間約184kg削減できます。また、車の停車時にはエンジンを切ることも大切です。

家庭から排出される二酸化炭素のうち、約20%強が自動車の運転によるものです。自家用車の運転を控えることは、地球温暖化対策に大きく役立つでしょう。

昆虫食を取り入れる

普段の食生活を見直すことも地球温暖化防止に効果的です。肉食を減らし、タンパク質の供給に昆虫食を取り入れると良いでしょう。

肉食を減らすことが地球温暖化防止につながるのは、牛や豚を食用として育て出荷するまでに、飼料や水の確保や運搬などに多くのエネルギーが使われているためです。全世界で排出される温室効果ガスのうち、畜産業による排出量は約14%にもなります。

一方で、昆虫は家畜と比べると、圧倒的に少ないエネルギーで飼育が可能です。例えば、昆虫食の中でもメジャーな存在であるコオロギの飼育時に発生する温室効果ガスの排出量は、牛の28分の1、豚の11分の1です※。

※FAO(国連食糧農業機関)の報告書より

昆虫食と環境問題の関わりについて詳しくはこちら↓

温室効果ガスの削減=地球と私達の生活を守ること

温室効果ガス増加による環境への影響は、食料危機や伝染病の流行など私達の暮らしに直結しており、早急な対策が求められています。私達の生活と地球を守るためには、まず、日常生活の中で、1人ひとりが地球温暖化防止を意識することが大切です。

そして、何より重要なのが実際に行動に移すことです。地球温暖化防止に役立つ対策は、簡単にできるものが多いため、まずは、1つでよいので温室効果ガス排出抑制につながる行動をしてみてはいかがでしょうか。

温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」についてはこちら↓

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