食品ロス削減に貢献できる「フードシェアリング」とは?

食品ロス削減に貢献できる「フードシェアリング」とは?

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食品ロス削減に有効な手段として「フードシェアリング」が注目されています。フードシェアリングサービスの利用は、事業者にも消費者にもメリットがあります。

今回は、フードシェアリングサービスの取り組みについてや、利用するメリットについて詳しくみていきます。フードシェアリングの魅力を追求してみましょう。

INDEX

食品ロスを減らす「フードシェアリング」とは

日本では、まだ「フードシェアリング」について聞き馴染みのない方も多いでしょう。いま食品ロス削減が注目を集める中で、「フードシェアリング」が話題になっています。

「フードシェアリング」とは、飲食店などの食品ロスとなりそうな商品と生活者やフードバンクを、アプリやECサイトなどでつなげるサービスのことを指します。

まだ食べられるのに廃棄になってしまう食品や賞味期限の近い食品を、必要としている生活者へつなぐことで、食品ロスを減らすことができます。フードシェアリングには、飲食店のメニューの店舗での受け渡しや、ECサイトで販売するものなどさまざまなサービスがあります。

フードバンクやフードドライブとの違い

余った食品を活用するという点において、「フードバンク」や「フードドライブ」との違いが気になる方もいるでしょう。ここでは、「フードバンク」と「フードドライブ」の違いについて確認しておきましょう。

「フードバンク」とは、企業や農家から寄付された食品を必要な人の元へ届ける団体のことを指します。まだ充分に食べられる余った食材について、収集・保管・管理・配布までの一連の流れで行います。

一方、「フードドライブ」とは家庭で余った食品を地域の福祉団体や、フードバンクへ寄付することを指します。

フードバンク・フードドライブも、フードシェアリングとは異なる食品ロス削減活動です。

食品ロスの削減はSDGs達成のために必要不可欠!

SDGsとは?

「SDGs」とは、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標を意味します。17の目標と169のターゲットから構成されています。SDGsは海外だけでなく、日本でも積極的な取り組みが始まっています。

その中で、「目標12 つくる責任 つかう責任」を達成するためには、食品ロスの削減が必須です。

食品ロスは、生産にも調理にも時間や労力、エネルギーを使って食べられる状態になっているにもかかわらず、捨てられてしまう食材です。廃棄される食材には、処分費用もかかるので、資源の無駄遣いが生じてしまいます。食品ロス削減とSDGsには深い関係があるといえるのです。

↓個人でできるSDGsの取り組みはこちら↓

日本の食品ロス

日本の食品ロスは、2019年度時点で年間570万tもあるとされています※。前年比より数値は下がっていますが、まだまだ食品ロスが多いことは明らかです。

内訳としては家庭で捨てられる食材が年間261万t。対して、食品関連事業者で捨てられる事業系の食品ロスは年間309万tで、家庭からの食品ロスより業者からの方が食品ロス率の数値が高くなっています。

数字で表すとあまりイメージがわきませんが、日本人は毎日お茶碗1杯分の食料を捨てていることになるのです。この毎日の茶碗1杯の食品ロスが積み重なれば、膨大な量になることがわかるでしょう。

※農林水産省調査より

事業者の取り組み

未来の日本、世界のためにも食品ロスは非常に問題視されています。そのため、現在、食品ロス削減を目的としたさまざまな取り組みを事業者が行っています。

そこでここからは、事業者がどのような取り組みをしているのか日本で展開されている5つのパターンからご紹介します。

飲食店・小売店→消費者

飲食店や小売店の食品ロスになる予定のメニューと生活者を、アプリやECサイトを通じてマッチングし、購入者が店舗で受け取る方法です。国際的にも認知度が高いサービスで、多くの国が採用しています。

レストランなどの飲食店やスーパーマーケットのような小売店が余ってしまいそうな食品をアプリ上で安価に販売することで、それを購入した消費者は通常よりお買い得で手に入れることができます。飲食店や小売店と消費者が直接つながるきっかけにもなっています。

生産者・食品メーカー→消費者

生産者や食品メーカーが規格外の野菜や肉、賞味期限の近い食品などをECサイトで販売し、購入した生活者の元へ発送する方法です。

こちらも、消費者は、作りすぎてしまった食材から規格外の食材まで食品ロスになりうる生産者や食品メーカーの食材をお得に購入することができます。生産者や食品メーカーもまた、余計な食材処分の手間や費用を省くことができるのです。期限が近い食材を扱う生産者や食品メーカーに向いている方法といえます。

生産者・食品メーカー→飲食店

生産者や食品メーカーが規格外の野菜や肉、賞味期限の近い食品などをECサイトで販売し、食品メーカーの商品や飲食店のメニューの材料にする方法もあります。

食品メーカーや飲食店は安価な価格で材料費を手に入れることができます。また、生活者に向けたフードシェアリングと比べて、取り扱う食品量の規模が大きい傾向があります。生活者が必要な食材の量に対し、食品メーカーや飲食店が必要とする食材の量の方が圧倒的に多いためです。大量に食材・食品が余る際に特に有効な方法といえます。

飲食店・小売店→フードバンク

飲食店や小売店の食品ロスの危機にある食品を、フードバンクの運営団体へ提供する方法です。その後、団体は食品を必要とする人の元へ食品を提供します。

アプリを活用することで、飲食店や小売店の食品ロス危機のメニューをより即時に把握できるようになり、短時間で的確に食料を分配すべき人に送れるようになります。

生産者・食品メーカー→フードバンク

規格外の野菜や肉、賞味期限の近づいた食品などを、フードバンクの運営団体に提供する方法です。

こちらもアプリを活用することで、生産者や食品メーカーの食品ロス危機のメニューをより即時に把握できるようになり、短時間で的確に食料を分配すべき人に送ることができます。

フードシェアリングのメリット

事業者側のメリット

フードシェアリングを活用することで事業者側には嬉しいメリットがたくさんあります。そこで大きく3つのメリットをご紹介します。

まず1つ目は、食品ロスと廃棄コストの削減により、売上がアップすることです。食品ロスが発生すると、その分お金をかけた食品が無駄になってしまいます。また、廃棄にもコストがかかります。廃棄の過程がなくなることで、売上アップにつながります。

2つ目は、社会貢献に取り組む企業としてのイメージアップやブランディングになることです。世界的にSDGs達成に向けた取り組みが進む中、食品ロス削減に向けた企業努力は、日本だけでなく世界から評価されるようになっています。生活者から見てもイメージの良い企業にみえますよね。企業の魅力を増やす点もメリットといえるでしょう。

3つ目は、新規顧客の獲得です。既存の顧客だけでなくフードシェアリングを活用することで新しい顧客と出会えるチャンスの幅が広がります。

利用者側のメリット

フードシェアリングには、利用者側にも3つのメリットがあります。

1つ目は、低価格で食べ物が手に入ることです。規格外の食品や賞味期限切れ間近の食品は定価よりも低価格で販売されるのが一般的。そのため、購入者は食品を安く手に入れることができます。

2つ目は、食品ロス削減に貢献できることです。地球環境を守り、社会問題解決に貢献していると思うと気持ちも良いでしょう。

3つ目は、注文が簡単で、人気の飲食店の料理を1人でも気軽に食べられることです。フードシェアリングは注文が難しくないので、1人のおうちごはんも気軽に楽しむことができます。

フードシェアリングなら誰でも簡単に食品ロス削減に貢献

フードシェアリングは、消費者であっても気軽に事業系の食品ロス削減に貢献できるのです。

まずは、フードシェアリングサービスに登録することから始めましょう。定額制や持ち帰り、宅配などさまざまなサービス形態があるため、自分のライフスタイルに合うものを選択してください。スマホ注文やQRコード決済、事前注文などの希望の注文方法で、簡単に支払いできるものがおすすめです。

サービスによっては、調理済みのものはもちろん、規格外の野菜や果物、海産物まで幅広く食材が揃っています。欲しかった食品をお得に手に入れられることもあるため、楽しみながら選ぶことができます。

フードシェアリングを利用してみよう

日本ではまだあまり馴染みのないフードシェアリング。しかし、この記事でフードシェアリングについて少しご理解いただけたのではないでしょうか。今、日本の自治体もフードシェアリングサービスに力を入れています。

購入者でもある私達が簡単に始められるフードシェアリングを活用することで、さらにサービスの拡大につながるでしょう。食品ロス削減に貢献する1つの取り組みとして私達でもできるフードシェアリングを始めてみてください。

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