
- 食料問題・地球環境
- 2022.03.27
気候変動とは?原因と現状から見える未来と今、私たちにできること
近年、気候変動により異常気象や災害などが起こり私たちの生活に影響を及ぼしています。気候変動はなぜ起こり、将来どのような影響が予測されるのでしょうか。この記事では、気候変動の原因や現状、予測される未来について解説します。また、気候変動による影響を抑えるために世界や日本が取り組んでいること、私たちができることも紹介します。
INDEX
- 気候変動とは?
- 気候変動の原因
- 1. 自然が起こす気候変動
- 2. 人間の活動が起こす気候変動
- 気候変動の現状と予測される未来①世界
- 1. 気温が上昇する
- 2. 北極海の海氷が減少する
- 3. 海水温度が上昇する
- 4. 熱帯低気圧の最大風速及び降雨量が増加する
- 気候変動により世界で起きている被害
- 気候変動の現状と予測される未来②日本
- 1. 気温上昇のペースが世界より速く進む
- 2. 強雨の増加と降水日が減少する
- 3. 真夏日・猛暑日が増加する
- 4. 地域によって積雪が減少または、大雪が増加する
- 気候変動により日本で起きている被害
- 気候変動に対する世界と日本の取り組み
- 地球温暖化への世界の新たな取り組み「パリ協定」
- 日本は2050年までに「カーボンニュートラル」を目指す
- 気候変動問題で私たちにできること
- 1. エネルギー消費量を減らす
- 2. 車の使用を減らす
- 3. 食品ロスを減らす
- 気候変動の現状を知り、私たちができることを始めよう!
気候変動とは?

地球上で起こるさまざまな大気現象は、太陽から放射されたエネルギーが源になっています。このエネルギーは大気圏を通り、陸地、雪氷、生物圏の間でやり取りされ、最終的には宇宙空間へ放射されることで、地球のエネルギー収支が保たれているのです。
このようなエネルギーの流れに関するシステムを気候系と呼び、このシステムの中にある大気の平均的な状態を気候と呼びます。そして、さまざまな原因により、この気候の状態が短期間で変化することを気候変動と言います。
気候変動の原因

地球の気候変動の原因には、自然が起こすものと人間の活動が起こすものがあります。次に、これらの原因について詳しく見ていきましょう。
1. 自然が起こす気候変動
自然が起こす気候変動の原因には、太陽活動の影響や海洋の変動、火山噴火で発生する大気中の粒子(エーロゾル)の増加などがあります。そのなかで、気候変動に大きな影響を及ぼしているのが、海洋の変動です。熱や水蒸気は、海洋表面を通して大気との間で交換されています。海面は地球表面の70%を占めていることから、海面の水温や海流の変動が気候へ大きな影響を与えているのです。
2. 人間の活動が起こす気候変動
人的に気候変動が起きる原因には、私たち人間の活動により発生する二酸化炭素などの温室効果ガスの増加、森林伐採や消失などの森林破壊、大気汚染物質の排出による日射量の変化があげられます。気温を上昇させると言われているのが、温室効果ガス排出量の増加です。また、森林が破壊されることで、地表面の日射の反射率や水循環の変化なども起きると言われています。
気候変動は、SDGsにも取り上げられています。SDGsについては、こちらの記事をご覧ください↓

SDGsアクションって、本当はすごく簡単! 個人で簡単にできることリスト
「持続可能な開発目標(SDGs)」は、世界を変えるための壮大な目標で、実現には世界中の協力が必要です。「とても自分は関わることはできない」「実感がわかない」そう思うこともあるかもしれません。…
気候変動の現状と予測される未来①世界

次に、各関係省庁のレポートから、気候変動による世界の現状と予測される未来、また実際に起きている被害について見ていきましょう※。
1. 気温が上昇する
<現状>
19世紀末の統計開始以降、世界の平均気温は上昇し続け、100年当たり0.72℃も高くなっています。
<予測される未来>
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)によれば、気温上昇が最も高くなるシナリオとして、21世紀末の世界の年平均気温は、20世紀末より2.6~4.8℃の気温上昇が予測されています。温暖化が進むと、熱中症の増加や光化学スモッグによる目や喉の痛みなどの健康影響が拡大する恐れがあります。
2. 北極海の海氷が減少する
<現状>
1979年以降、北極域の海洋面積は減少し続けています。1年当たりの減少量はかなり多く、北海道の面積に匹敵するほどです。
<予測される未来>
20世紀末と比較して、21世紀末9月の北極域の海氷域は、気温上昇が最も低いシナリオでも43%、最も高いシナリオでは、94%も減少すると予測されています。今世紀半ばには北極海の氷がなくなる可能性が高いと言われています。海氷がなくなると、海面上昇につながり、農地や飲用水が失われたり、気候難民が発生したりする恐れがあります。
3. 海水温度が上昇する
<現状>
海洋の温暖化により蓄積されたエネルギー増加量は顕著で、世界の年平均海面水温は、1891~2016年の間で、0.53℃の割合で上昇していることが指摘されています。
<予測される未来>
21世紀も世界全体で海洋上昇が続き、21世紀末までには最も低いシナリオで約0.6℃、最も高い場合は約2.0℃の上昇が予測されています。
4. 熱帯低気圧の最大風速及び降雨量が増加する
<予測>
地球全体での熱帯低気圧の発生頻度が減少するか、または変化がない一方で、熱帯低気圧の最大風速および降雨量が増加する可能性が指摘されています。最近の研究では、日本の南海上からハワイ付近やメキシコの西海上にかけて、最大風速59m/秒以上の強大台風の通過が増える可能性も予測されています。
気候変動により世界で起きている被害
気候変動により海水温度が上昇して氷河や氷床が融解すると海面も上昇します。既に、フィジー諸島共和国、ツバルなどの海抜の低い島国では、高潮による被害が起きています。海水が田畑や井戸に入り込むため、作物が育たず、飲み水が塩水になってしまうなど生活に大きな影響が出ているのです。
また、中近東やアフリカ南部などの一部地域によっては、降水量が減り、水資源を得られないなどの現象も見られています。
気候変動の現状と予測される未来②日本

次に気候変動による日本の現状と予測される未来、また実際に起きている被害について見ていきましょう。
1. 気温上昇のペースが世界より速く進む
<現状>
日本の年平均気温も変動を繰り返しながら、100年当たり1.19℃の割合で上昇をしており、そのペースは世界よりも早いようです。1990年代以降、高温の記録が顕著になっています。
<予測される未来>
21世紀末の日本の年平均気温は、少なくとも0.5~1.7℃、最悪のシナリオで3.4~5.4℃上昇すると予測されています。
2. 強雨の増加と降水日が減少する
<現状>
日降水量が100㎜以上の大雨となる日数が増加し、1時間降水量50㎜を超える短時間に滝のように降る雨の発生回数も増加しています。一方、降水の日数は減少傾向です。
<予測される未来>
21世紀末には、短時間に発生する強雨の回数が全地域や季節で増加し、無降水日も全国的に増加すると予測されています。
3. 真夏日・猛暑日が増加する
<現状>
1931~2016年の間で、真夏日(日最高気温30℃以上)と猛暑日(日最高気温35℃以上)の年間日数は増加傾向です。特に猛暑日は、10年当たり0.2日の割合で増加しています。
<予測される未来>
最悪のシナリオでは、21世紀末には猛暑日の年間日数がさらに増加し、特に沖縄・奄美では、年間で54日程度増加することが予測されています。
4. 地域によって積雪が減少または、大雪が増加する
<現状>
1962~2016年の間で年最深積雪が、東日本の日本海側で10年当たり12.3%、西日本で10年当たり14.6%減少しています。
<予測される未来>
21世紀末、日本海側の年最深積雪と年降雪量は、大きく減少することが予測されています。一方、北海道や本州の内陸部で、大雪が高頻度で現れるとの予測もあるようです。
気候変動により日本で起きている被害
近年日本では、気候変動が引き起こす大型台風や豪雨により、洪水や土砂崩れなどの二次災害などが深刻化しています。また、気温上昇や大型台風の通過によって、農作物の収穫が不足するなどの影響も出ているようです。
気温上昇により、米やトマト、温州みかんなどの品質の低下が実際に起きています。また、2013年には、海水温の上昇により、アラメ・カジメなどの藻場の衰退現象が発生しました。21世紀末までには、カジメの生息不適域が拡大する可能性も示唆されています。
気候変動に対する世界と日本の取り組み

次に、気候変動の影響を抑えるために、世界と日本で行われている取り組みを見ていきましょう。
地球温暖化への世界の新たな取り組み「パリ協定」
パリ協定とは、2015年に開催された気候変動に関する国際的な枠組みで、世界共通の目標を次のように掲げました。
①世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
②21世紀後半に温室効果ガス排出を実質ゼロにする
各国が自国の削減目標を5年ごとに見直し、目標の更新を行うことになりました。
日本は2050年までに「カーボンニュートラル」を目指す
日本政府は2016年パリ協定に批准した当初、2030年までに温室効果ガスの排出量を2013年度の水準から26%削減する中期目標を掲げました。2020年10月には、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル宣言」をしています。さらに、2021年4月の「気候変動サミット」では、2030年には2013年度の水準から46%まで削減する目標を宣言しました。
カーボンニュートラルについては、こちらの記事で詳しく解説しています↓

カーボンニュートラルとは。脱炭素を目指す国・企業・個人の取り組み
今、世界中の国々が一丸となってカーボンニュートラルという取り組みを進めています。日本でも「2050年カーボンニュートラル宣言」をし、取り組みを進めています。...
気候変動問題で私たちにできること

最後に、気候変動による地球への影響を少なくするために、私たち個人レベルでできる取り組みを紹介します。
1. エネルギー消費量を減らす
家庭で使用するエネルギー消費量を減らし、排出される温室効果ガスの量を減らすことが大切です。例えば、「使っていない電灯・電化製品は消す」「エアコンの温度を適切に保つ」「冷蔵庫の開け閉めに時間をかけない」などを意識してみましょう。
2. 車の使用を減らす
近距離の移動は、車やバイクなど使用せず徒歩や自転車にしましょう。遠出する場合は、自家用車ではなく、公共交通機関を使うことも選択肢に入れてみてください。
3. 食品ロスを減らす
気候変動の対策として、食品ロスを減らすことも大切です。IPCCによると、8〜10%の温室効果ガスが食品ロスから来るものとされています。家庭やレストランから出る食べ物の残渣、スーパーなどでの賞味期限などの廃棄が食品ロスとなっているのです。食品ロスを出さないものを意識して選んでみましょう。
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気候変動の現状を知り、私たちができることを始めよう!

人間の活動が気候変動をもたらし、環境や私たち自身の生活にも大きな影響を及ぼしています。気候変動の現状から見える未来を想像し、影響を食い止めるために、まずは私たち一人一人ができることから始めてみましょう。
環境に優しい商品については、こちらで詳しく解説しています↓

環境に優しい商品とは? 商品を選ぶ基準を社会的課題別に紹介 - Gryllus Magazine - グリラスマガジン -
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