
- 食料問題・地球環境
- 2022.03.27
ESG投資とはSDGsの達成に必要な取り組みの一つ。環境と人へのメリットも紹介
ESG投資とは、今までの財務情報と合わせて環境や社会、企業統治を考慮した投資のことです。ESG経営をする企業に投資することで、個人でもSDGsの達成に貢献できます。また長期的に安定しやすい資産運用も可能に。そこで今回は、ESG投資について、環境や人へのメリットと共に紹介します。
SDGsの達成に必要なESG投資

投資とSDGsには関係があまりないように思うかもしれません。ですがESG投資の基準には、SDGsの達成につながる項目が含まれています。まずは、SDGsの達成に必要不可欠なESG投資について解説します。
ESG投資とは
ESG投資とは従来の財務情報に加えて、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)を考慮した投資のことを指します。
従来の投資先の選び方では財務情報が判断材料となり、利益を上げている会社が優良な会社とされていました。それに対して、ESG投資では従来の財務情報に加えて、「環境や社会などに配慮し、さらに貢献しているか」などの基準も合わせて良い会社と評価されます。
SDGsとESG投資の関係
SDGs(持続可能な開発目標)の認知度が上がったことで、経済界にも変化が起こりました。投資先を選ぶ上で、持続可能な社会を目指す取り組みを企業が行なっているかが重要視されるようになったのです。ESG投資では、「SDGsを経営に取り入れた企業であるか」「SDGs達成に向けて具体的にどのような取り組みをしているのか」という点に着目して、投資するかどうかを判断しています。SDGsに配慮していない企業は、将来的な魅力が上がりにくくなっているのが現状です。そのため、SDGsに配慮した事業を行っていくことが、企業の将来を考えると必要な選択になってきています。
ESG投資の対象となる企業の特徴
ESG投資で対象となる企業の特徴は、大きく分けて以下の3つがあります。
①環境(Environment)に配慮している
・温室効果ガスの排出量を抑える
・環境汚染をしない(工業排水など)
・再生可能エネルギーを積極的に取り入れる
②社会(Social)に貢献している
・地域の発展に貢献
・労働環境を改善する
・女性の活躍に力を入れている
③収益を上げながら企業の管理体制(Governance:企業統治)を強化している
・法律や道徳を守る
・不正を防ぐ
これらの視点で評価し、ESG投資するかどうか判断されます。
ESG投資が注目されている理由

近年、ESG投資が注目されているのには、いくつか理由があります。下記では、具体的な理由を説明します。
PRIによるESG投資の後押しがあったから
ESG投資が注目されている大きな理由の一つに、PRI(国連責任投資原則)がESG投資を後押ししていることが挙げられます。PRIとは、「投資する際はESGへの取り組みを考慮すべき」などの投資原則のことです。2006年に国連のコフィー・アナン事務総長の提唱がきっかけで実現し、世界1965の機関が署名しました。
【6つの責任投資原則】
①投資の分析と意思決定のプロセスでESGの視点を組み入れる。
②株式の所有方針・慣習にESGの視点を組み入れる。
③投資先にESGに関係する情報の開示を求める。
④資産を運用する業界にて、PRIの原則が広まるように働きかける。
⑤PRIの原則の効果を高めるために協働する。
⑥PRIの原則に関係する活動や進捗状況を報告する。
SDGsが広く知られるようになったから
2015年に国連サミットで採択されたSDGsが、ESG投資が注目されているもう一つの理由です。SDGsでは、社会や環境問題に対して政府や企業、国際機関、NGO(非政府組織)、NPO(非営利団体)などが協働して達成すべきことが挙げられています。達成目標である2030年に向けて、SDGsへの取り組みが重要視される中、企業がSDGsに取り組むことで、一般にも認識されるようになりました。その認識が企業のESG経営を後押ししています。
GPIFがESG投資を行っているから
日本の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、2017年にESG投資を開始したのもESG投資が注目されている理由の一つです。世界最大規模の年金基金であるGPIFがESG投資を行っているため日本でも関心が高まりました。
ESG投資をするメリット

ESG投資には、社会的・資産的にもメリットがあります。世界全体で環境問題への取り組みが進んでいるため、ESG経営をしている企業に投資していくことで、安定した成長を期待できます。ここではESG投資をするメリットを見ていきましょう。
社会貢献につながる
ESG投資のメリットは社会貢献できることです。ESG投資の対象となる企業は、さまざまな環境や社会問題の改善・解決に取り組んでいます。その取り組みは多岐にわたり、地球温暖化の抑制や資源の有効活用、性別格差の改善などが挙げられます。投資は直接的な社会貢献ではありませんが、投資先である企業を通じて間接的な社会貢献が可能です。
資産価値が変動しにくく安定しやすい
ESG投資では、企業の環境や社会問題、労働環境を改善するための持続的な取り組みを重視しています。短期で利益を追う企業では、業績の良し悪しや不祥事などに伴い資産価値が上下するのが一般的です。それに対してESG投資で対象となる企業の場合、資産価値が変動しにくく、安定しやすい傾向があります。そのため、ESG投資は長期間の資産運用に適しています。
SDGsに貢献!個人でも始められるESG投資のやり方

ESG投資を始める方法は大まかに分けると2ステップあります。ここでは簡単にESG投資のやり方を紹介します。
1.証券会社で口座を開く
まずは証券会社で口座を開設します。実店舗を持つ証券会社よりもネット証券会社がおすすめです。窓口で相談ができないのがデメリットですが、手数料が安いことや夜間でも取引できることが大きなメリットと言えます。自分の生活スタイルに合わせて、スマートフォン一つでスキマ時間に自由に取引することができます。ただし、ネット証券会社も数多くあるため、しっかり比較してから選ぶことが大切です。
2.ESG投資先を選ぶ
口座を開設した後は、ESG投資先を選びます。投資先を選ぶ方法は2つあります。1つ目は、自分で投資先を選ぶ方法です。自分で選ぶ際は、ESG投資する企業の候補を出し、詳細な情報を確認してから投資先を決定します。2つ目は、投資信託の運用会社や販売会社に任せる方法です。個人で投資先を選ぶのは決して簡単ではありません。個人での投資に不安を感じる人はプロに任せると、投資先を選ぶための手間や時間を節約することができます。
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ESG経営の企業に注目してみよう

ESG投資は、SDGsの達成に貢献できる取り組みの一つです。ESG経営の企業には将来的なメリットがあるので、投資先としての魅力があります。ESG経営の企業が行っている取り組みに対して、個人でも環境や人のために役立つ行動を起こせるので、まずはどんな企業があるか注目してみてくださいね。