バイオテクノロジーは思いを未来へつなげる技術。今を良くする可能性を知ろう

バイオテクノロジーは思いを未来へつなげる技術。今を良くする可能性を知ろう

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バイオテクノロジーは、生物の持つさまざまな能力を暮らしに役立てる技術です。私たちの暮らしに密接するものであり、未来につながる研究が数多く行われています。本記事ではバイオテクノロジーとはどんな技術なのか、活用されている分野などと共に解説。グリラスが昆虫食事業で活用しているバイオテクノロジーについても紹介します。

INDEX

バイオテクノロジーとは

分析を進める女性研究者

バイオテクノロジーは生物の持つ能力や性質を、人の暮らしに役立たせます。まずはバイオテクノロジーとは具体的に何を指し、どのような技術なのかを詳しく見ていきましょう。

生物が持つ能力や性質を人々の暮らしに役立てる技術

バイオテクノロジーは、生物学を表す「バイオロジー」と技術を表す「テクノロジー」が組み合わさった言葉です。「生命工学」と呼ばれることもあります。言葉が表す通り、バイオテクノロジーは生物の持っているさまざまな能力や性質を、技術を使って人の暮らしに役立つように利用したり、改良したりする技術のことを指します。

実は古代から役立ててきた技術

実は人間は、古代から生物のさまざまなはたらきを自分達の暮らしに活かす工夫をしてきました。例えば作物を育てる際、よく育っているものの種子を選び栽培することで、より質の良いものが多く収穫できるよう工夫を重ねるようにしてきました。微生物の働きを利用して作るパン・チーズ・ヨーグルト・醤油・味噌などの発酵食品、はるか昔から存在する酒なども同じです。このような発酵食品の文化は、昔から世界中で存在しています。

バイオテクノロジーが活用されている分野

温室で栽培される農作物

現在、バイオテクノロジーはさまざまな分野で活用され、大きな成果に繋がっています。ここでは、バイオテクノロジーが活用されている主な分野を3つ紹介します。

農業

農業の分野においては、さまざまなところでバイオテクノロジーが活用されています。例えば品種改良がその1つ。品種改良の技術には、遺伝子組み換えとゲノム編集があり、性質は異なります。

遺伝子組み換え 外部から別の遺伝子(病気に強い遺伝子など)を挿入し、品種を改良する技術
ゲノム編集 目的の品種内にある改良したい遺伝子(例えば病気の原因となる遺伝子)を狙って切断し、品種を編集する技術

上記のバイオテクノロジーを駆使して「病害虫に強くする」「気候の変動に対応できる」「収穫量を増やす」など、さまざまな目的で作物を改良する研究がなされています。

医療

医療分野においては、バイオテクノロジーを使用した医薬品などが開発されていて、遺伝子疾患や難病への治療に期待がかかっています。大きな売上を上げる医薬品の中にはバイオ医薬品も多く、がん・糖尿病・心筋梗塞などさまざまな病気の治療に利用され、世界中で効果を上げています。

また、ゲノム編集技術により、AIDS患者の免疫細胞の一部を編集し体内に戻すことで、一部患者の発症を抑えられたという研究成果も。京都大学の研究所では、細胞を人工的に培養して作られた幹細胞、いわゆるiPS細胞を利用し、筋ジストロフィーの治療を行う研究もなされています。その他、医療機器や医療・介護ロボットなど医療の現場で使用される機器、予防・診断治療などにもバイオテクノロジーが活用されています。

エネルギー

バイオテクノロジーを利用したものづくりは、エネルギー産業の分野でも大きな注目を集めています。再生可能なバイオマスエネルギーはバイオテクノロジーの代表的な活用例です。バイオマスとは動・植物由来の有機性資源のこと。バイオマスを原料に取りだされるエネルギーがバイオマスエネルギーです。

燃焼させ熱を活用したり、発酵させて出たガスを燃やして熱にしたり、発電させたり、さまざまな仕組みでエネルギーを発生させます。エネルギーが発生する過程で生まれる二酸化炭素は、原料となるバイオマスが吸収すること、また廃棄されるようなものも原料として活用されることなどから、環境保全の観点からも非常に有効です。
植物・微生物から試薬・化粧品・香料・プラスチックなどの工業材料を作る技術にもバイオテクノロジーが活用されています。

グリラスが取り組むバイオテクノロジーの活用例

グリラスの研究施設

株式会社グリラスは、食品ロスから生み出された循環型の食品である食用コオロギを製造・販売しています。最先端バイオテクノロジーの研究組織としての側面も持っているグリラス。ここではグリラスで取り組んでいるバイオテクノロジーの活用例を紹介します。

コオロギ飼育時の半自動化

徳島大学などの外部機関と共同で、コオロギの飼育を自動化するシステムの開発に取り組み、現在は給水・給餌の工程、収穫した際の分別作業の半自動化を進めています。コオロギはとても小さい個体です。飼育容器の密閉度が下がると収穫量が下がってしまい、逆に上がりすぎると弱ってしまいます。また、他の生物のようには液体を飲むことができないので、水分補給の方法にも工夫が必要です。

このような課題から、従来型の生産方法では時間やコストがかかっていました。しかし、バイオテクノロジーを活かした半自動化システムにより、従来の半分以下までコストカットが見込めるようになったのです。

ゲノム編集技術を応用した高度な品種改良

大学での30年近くにわたる、フタホシコオロギの研究により確立したゲノム編集の応用により、安全性が高く、より食用に適したコオロギの製造が可能になっています。またゲノム編集により高効率な品種改良が叶います。

※現在グリラスから他社へ提供している食品原料や自社ブランド「C. TRIA」に使用しているコオロギは、品種改良されているものではありません。

ゲノム編集については、こちらの記事で詳しく解説しています↓

グリラスのバイオテクノロジーを駆使して今より良くなる未来

未来のイメージ図

バイオテクノロジーは今よりももっと良い未来にできる可能性を秘めています。最後に、バイオテクノロジーを活用することで未来にどのようなことが起こりうるのかを紹介します。    

食料問題の解決

現在、世界規模で食料や栄養が不足しています。しかし、先進国では大量に食品を廃棄する食品ロスも起こっています。コオロギの特徴は雑食性です。この特徴により、飼育段階で食品ロスを餌として活用できます。コオロギを生産し食用にすることで食料問題の解決にもつながるのです。  

またコオロギは次世代の食品にふさわしく栄養面に優れており、タンパク質やビタミン、カルシウム、亜鉛、鉄分などが豊富に含まれています。

地球温暖化の解消

コオロギは、地球温暖化の原因の一つとも言われている温室効果ガスの削減も期待できます。体重当たりのガスの排出量が少ないコオロギは、環境にやさしい食材です。また牛や豚などの他の家畜に比べ、1kgのタンパク質を生産するために必要な餌や水が少なく済むので、資源が有効的に活用できます。

バイオテクノロジーは多様な可能性を秘めた技術

バイオテクノロジーが描く未来

バイオテクノロジーは人の未来を描く、多様な可能性を秘めた技術です。その研究の成果は私たちの生活のいたるところに活用され、暮らしを豊かにしてくれています。そして世界規模の問題を解決する鍵として注目される昆虫食にもバイオテクノロジーは利用されています。ぜひこの記事をきっかけに、バイオテクノロジーについてより理解を深めてください。

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