
- コオロギ・昆虫食
- 2022.10.30
コオロギの飼育方法って?餌や飼育ケースなどコオロギのプロが解説!
トカゲなどの爬虫類をペットとして飼っている方の中には、餌としてコオロギを自宅で飼うことを検討している方も多いのではないでしょうか?
今回はコオロギ飼育のプロであるグリラスが、そんな方にオススメの飼育方法や、用意しなくてはいけない設備、環境等をご紹介します。
コオロギの成長を早めるのに最適な温度や大きく育てるための最適な餌などもご紹介していきます。
・コオロギを育てるための条件
実はコオロギは、比較的飼育が簡単な昆虫です。
大きく分けて飼育成功に必要な条件は、「温度」「水分」「乾燥」の3つになります。今回はグリラスで生産しているフタホシコオロギを例に、この3つの条件に分けて紹介していきます。
飼育成功の条件① 「温度」
コオロギは飼育温度が高いほど卵から成虫になるまでの日数が短くなるため、気温は高めにキープする必要があります。中でもフタホシコオロギは、日本では奄美大島島の南西諸島に生息している品種のため、寒さにとても弱く、20℃以下で飼育をすると死んでしまう恐れがあります。
しかし逆に温度を高め過ぎても死んでしまい、32 度以上になると死亡のリスクが高くなると言われています。
そのためコオロギを飼育する際のオススメの温度は25℃から30℃の間です。
冬場は、爬虫類用のヒーターやエアコンなどを使用して、飼育ケースの中の温度を高めてあげる必要があります。
飼育成功の条件② 「水分」
コオロギの飼育において水は最も重要な要素で、常に水が飲める水飲み場を維持することが大切です。
小さなタッパーやプラスチック容器に水を入れ、容器上部(蓋部分)に穴をあけ、細長く切った脱脂綿を通します。下部をアルコールランプのように、水に浸った状態にしておくと便利です。またその際コオロギが中に入って溺死してしまうことを防ぐため、容器内に落ちてしまう隙間を作らないよう注意してください。
コオロギはとても沢山水を飲む生き物のため、水が切れるとすぐに死んでしまいます。十分な水分を摂れているか確認する際は、触角をチェックしてみてください。触覚に張りがない場合は水が足りていない可能性があるので、すぐに水を与えてください。
一方でコオロギの幼体は体が小さく、水滴にひっかかるだけで死んでしまう可能性があります。そのため水のあげ方には工夫が必要です。ティッシュなどに水を垂らして湿らせた物を用いると事故を防ぐことができます。
餌や水は、カビの原因になるため、こまめに替えてあげてください。

コオロギの水飲み場
飼育成功の条件③ 「乾燥対策(飼育ケース)」
コオロギを家庭で飼育する際に必要となる飼育ケースですが、コオロギが逃げ出さないよう蓋つきのケースを選ぶのがオススメです。
ですが飼育環境を密閉すると湿度が高くなり、コオロギの糞尿の臭いがケース内に充満して死んでしまいます。実はコオロギの死因の1位は、糞尿の臭いがケース内に充満することによる中毒死です。そのため蓋は8割ほど切り抜き、空いた部分に金網などをグルーガンでくっつけると、通気性がよく程よい乾燥状態を維持できます。
飼育する数にもよりますが、コオロギはプラスチックの壁を滑って登ることができないため、衣装ケースや大きい虫かごを購入すると◎。

飼育ケース内の様子
以上がコオロギの飼育を成功させるための3つの条件です。
ここからは具体的にコオロギを飼育するにあたって準備する設備・環境をお話していきます。
・飼育成功のための設備・環境
コオロギを飼育する際は、コオロギが過ごしやすい環境を作ることが重要です。
では、どのような環境を作ればいいのか、ご紹介していきます。
隠れ家
コオロギは脱皮時に共食いをする場合があるため、安全な脱皮場所(隠れ家)を確保してあげる必要があります。蛇腹に折った紙やダンボール、卵を販売する際の紙パックが隠れ家となりますので、こういったものを飼育ケースに入れるようにしましょう。
なお、隠れ家があると、一つのケースでたくさんの個体を飼育できるメリットもあります。
産卵床
コオロギを継続的に飼育するためには、成虫が卵を産み付けるための産卵床も必要になります。野生のコオロギは土に産卵管(尻の部分から出ている長い管)を刺して産卵するので、これに代わるものを用意します。
産卵床には、小さなタッパーやプラスチックケースにティッシュを詰め、水で適度に湿らせたものを設置します。
土のような湿り気と、産卵管を刺せるだけの柔らかさ、産卵管を刺した時に十分な深さがあることが重要です。定期的に状態を確認し、乾燥気味であれば湿らせてください。

グリラスでも使用している産卵床
餌
コオロギは雑食の生き物なので、人間が食べられるものは基本的になんでも食べます。ですが好き嫌いはあり、動物性タンパク質を好みます。
餌の中でもオススメはキャットフードです。動物性タンパク質が豊富に含まれているため大きく育ちます。また栄養が十分な状態を維持できるので、タンパク質接種を目的とした共食いを減らせる効果もあります。
コオロギが小さいうちは、粉砕して与えてください。またキャットフードの中でも、コオロギが好む味のものを見つければ、沢山食べてくれます。

粉砕した後の餌
床材は不要
野生のコオロギの住環境から勘違いされてしまいがちですが、床材に土を利用すると、ダニの発生や湿度の上昇、衛生状況の管理など飼育が難しくなるのでオススメしません。
衣装ケースや大きい虫かごの中にそのままコオロギを入れて、飼育することが可能です。
サーキュレーター
コオロギを沢山に飼育する場合、どうしても気になってしまうのが臭いです。臭いの原因となるのは、主に糞尿で、次いで餌となるキャットフードもその1つです。
また、湿度が高すぎると中でコオロギの死骸が腐ってしまい、他にもカビやダニが発生することがあります。
そのため安定した空気の流れを作り出せるよう、飼育室内でサーキュレーターを使用すると改善できます。
飼育環境を作る際の注意点
繰り返しになりますが、コオロギの飼育には室温と乾燥状態、水が常に飲める状態を維持することが重要です。
水場を多くすると湿度が上がり、乾燥状態を作ろうとすると水が蒸発しやすくなります。
このバランスが難しいですが、水場のあるところ以外は乾燥している砂漠とオアシスのようなイメージで飼育環境を整えると成功確率が高くなります。
以上がコオロギの飼育において重要な設備・環境となります。
それでは、最後に、コオロギの世話の仕方についてご紹介します。
・コオロギの世話の仕方
世話の頻度
上に書いた飼育環境が整っていれば、コオロギの世話は毎日する必要はありません。
1週間に1度ほどの頻度で水と餌が足りているかを確認し、時折ケースの掃除をして糞尿を取り除いてください。また、死んでしまったコオロギがいる場合は、衛生を保つためにもすぐ取り除くと良いです。
卵の回収
メスの成虫がいる場合は、産卵床に産卵している場合があります。その際、すぐに産卵床を回収するのではなく、ある程度卵が産み付けられた後で回収してください。頻度としては1週間に1回程度がオススメです。
上に書いたような産卵床を使用する場合、ティッシュ部分をコオロギたちが噛みちぎったりしてボロボロになることが多々あります。ですが、適度な湿り気があればそこまで気にする必要はありません。
ある程度卵が産み付けられ産卵床は、回収して乾燥しないように蓋をして保管します。この際、保管中にカビが生えることもありますが気にしなくて大丈夫です。
今回はコオロギのプロがオススメする飼育方法を解説しました!
最初の準備と餌や水、温度や清潔さに注意すればだれでも簡単に飼育できるので、ぜひ皆様もコオロギの飼育にトライしてみてください。