コオロギは飼育の過程で、他の生きものと同様にご飯を食べて糞をします。その量は、コオロギパウダーを1kg生産するごとに約5kgほど。グリラスではこの糞を、牛や鶏といった既存畜産と同様に、農業用の肥料として活用しようと取り組んでいます。
現在その一環として、徳島県内のコオロギ養殖ファームで発生した糞などの飼育残渣を、「コオロギフラス(英語で昆虫の糞や餌のカスという意味)」として地元の農家さんにご使用いただいています。
ここでは、コオロギフラスの利活用にご協力いただいている農家さんの1つ「田口農園 徳島」さんとの取り組みや、コオロギと農業が手を取って生み出す”新たな循環”についてご紹介します。

コオロギフラス
1.コオロギフラスの肥料活用について
2.田口農園 徳島との取り組み
3.コオロギフラスが生み出す”新たな循環”
1.コオロギフラスの肥料活用について
冒頭で説明した通り、生産したコオロギパウダーの約5倍のコオロギフラスが出てしまいます。これをそのまま廃棄した場合は環境負荷になってしまいますが、農業用の肥料として活用することで、もう一度食料生産に寄与することができるようになります。
また、コオロギフラスの成分を他の肥料と比較したところ、既存の牛糞や鶏糞の中間程度の肥料効果が見込まれることや、乾燥していて匂いも少なく、保管や管理が容易なことなどが分かりました。
さらにグリラスのコオロギは、飼育過程で動物医薬品や飼料添加物を与えていません。そのためコオロギフラスも、動物医薬品・飼料添加物を含まないオーガニック肥料である点も、他の畜産由来の有機肥料と比較したときのポイントです。

コオロギフラスの比較分析結果①

コオロギフラスの比較分析結果②
2.田口農園 徳島との取り組み
実際にコオロギフラスを使用していただいている農家さんの1つが「田口農園 徳島(クリックリンク)」さんです。田口農園さんは世界農業遺産に認定されている「にし阿波地域」の農家の1つで、農業には適さないとされている傾斜地での農耕を可能とする、「傾斜地農耕システム(ここにクリックリンク)」を400年に渡って受け継いできました。
そんな田口農園さんとの取り組みが始まった理由は、同じサスティナビリティへの想いから。江戸時代から続く持続可能な農業を受け継ぐ田口農園さんと、増加を続ける世界人口を環境負荷が低いコオロギのタンパク質で支えていくというグリラスの想いは、それぞれつくるものは違えど、食の未来を担うという共通の方向を向いていました。

田口農園 徳島でのコオロギフラス使用の様子
3.コオロギフラスが生み出す”新たな循環”
今後グリラスでは、徳島のコオロギ生産ファームで発生するフラスを田口農園さんに使っていただいているように、全国各地にファームを拡大し、その土地土地でフラスを活用した農業を推進できればと考えています。
また長期的には、その土地で発生した食品ロスでコオロギを育て、コオロギの飼育過程で発生するフラスで農作物を育てる。そしてその農作物とコオロギがまた地域の食卓に並ぶような、”新たな循環”をコオロギの力で創り出すことが目標です。
