今なぜ「昆虫食」が注目されているの? 環境問題の解決を支えていく昆虫とは

今なぜ「昆虫食」が注目されているの? 環境問題の解決を支えていく昆虫とは

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近年、「昆虫食」が世界で注目を集めています。「そうは言っても虫を食べるなんて…」と思うかたは少なくないかもしれませんが、世界では日常的に食している国もありますし、日本でもかつては昆虫食がスタンダードだった時代があるのです。そんな昆虫食の歴史を振り返りながら、食料問題を解決すると言われ、世界的に見直されている昆虫食の意義について一緒に探っていきましょう。

INDEX

かつて日本は昆虫食がスタンダードだった

箸置きの上に置かれた箸と茶碗

昆虫は昔から、簡単に手に入り栄養価も高い貴重な食材でした。現在でも南極以外のすべての大陸に昆虫食文化が残っており、かつての日本にも昆虫食文化が根付いていました。大正時代の調査では、食用の昆虫は55種類ほどいたと言われてます。特にイナゴは広い地域で食されており、その他にもカイコ(さなぎ)・カミキリ(幼虫)・セミなどが食されていました。

しかし、第二次大戦直後の調査では約20種類に減少。現在まで昆虫食文化が受け継がれているのは、内陸地方の一部です。昆虫食文化が衰退した理由は、衛生面の管理が難しかったこと、またスーパーマーケットの普及により、昆虫食は「一般的なものではない」という認識が広まってしまったことや、戦後の食の西洋化です。

現在も、内陸地方では伝統食として食べ継がれている

日本では昔から、海に面した地域の食においては魚がタンパク源でしたが、海に面していない長野や岐阜などの内陸の地方では、昆虫が重要なタンパク源でした。そのため現在でも、長野や岐阜では昆虫が伝統食として食べ継がれています。

食べ継がれている昆虫は、稲の害虫であるイナゴをはじめ、ハチの子・ザザムシなど。イナゴの佃煮は長野県の郷土料理としても知られており、スーパーマーケットや土産店でも売られています。

今なぜ、昆虫食が注目されているのか

コオロギとコオロギパウダーのイラスト

時代とともに減少してきた昆虫食ですが、2013年、国連食糧農業機関(FAO)は昆虫を貴重なタンパク源として「昆虫食」を推奨する報告書を発表しました。2050年の世界人口が約100億人に迫ると予想されていることに伴い、食糧や水などの確保や環境問題の対策として、昆虫食が改めて注目を浴びているのです。

これまで私たちは、牛・豚・鶏・海産物などを主なタンパク源としていましたが、昆虫食はこれらに比べて栄養を効率良く摂取できます。また、飼育時の環境負荷やコストの軽減も可能とすることから、昆虫食はあらゆる可能性を秘めた未来食として、期待されています。

現在の法律では昆虫類を食品にすることを禁じている場合もありますが、先進国では多様な食の開発が進んでいることから、昆虫の使用も容認されているようです。

世界人口の増加で、タンパク質源の確保が課題となっている

2030年には、世界の人口は90億人になるといわれています。これほどの人口を支えるためには何億頭もの家畜の飼育が必要となりますが、このままではこれら動物性タンパク質の需要と供給が逆転すると予測されています。この事態を「タンパク質危機」と言い、現在世界中で問題視されています。

「タンパク質危機」について詳しく知りたい方はこちら↓

昆虫食は環境保護の観点でも優れている

太陽と放牧された牛たち

家畜の大量飼育は、広大な敷地と大量の飼料が必要となり、そこから森林破壊や環境汚染につながる恐れがあります。また水産業においては魚粉が海洋環境を汚染したり、過剰に漁獲したりして海洋生物の存続が危ぶまれています。しかし昆虫食は家畜や水産に比べて飼育時の環境負荷が軽いので、持続可能な食文化となり得るのです。

世界で現在も食されている昆虫は?

テーブルに置かれた地球柄のお皿とカトラリー

現在でも、南極大陸以外の大陸には昆虫食文化が残っており、世界の約19億人が2,000種類もの昆虫を食べているといわれています。よく食べられている昆虫は、甲虫(カブトムシなど)・イモムシなどの成虫や、さなぎ・幼虫・卵など。昆虫は、人類の発展を支えてきたと言っても過言ではないのです。

特に昆虫食文化が色濃く残っている大陸は、アジア・中南米・アフリカです。

中国では、薬用・滋養物として食されている

中国では薬用、滋養物として昆虫を食べる伝統があります。現在は害虫として扱われるゴキブリも、貴重な薬でした。2,000年以上前に中国で出版された医学書「新農本草経」(しんのうほんぞうきょう)をはじめ、たくさんの医学書にはゴキブリの薬効が記されています。

タイでは、おやつとしても重宝されている

タイでは、バッタ・ススメバチの幼虫などさまざまな昆虫が食べられていて、タンパク源としてはもちろん、都市部ではおやつとしても親しまれています。屋台では昆虫食が売られており、人々はスナック感覚で楽しんでいるのだとか。中でも特に一番人気なのがコオロギで、世界に先駆けて食用昆虫としての養殖に取り組んでいます。養殖システムは冷凍コンテナなどの流通を含めて整備されており、中にはコオロギ御殿を建てる人もいるそうです。

ベトナム・ラオスでは、コオロギがスタンダード食

ベトナム・ラオスでは、コオロギがスタンダード食です。ホーチミン市内には、揚げたコオロギのソース和えやコオロギのサラダなどが安価で食べられる店が数軒あり、人気が広がりつつあります。コオロギの養殖事業も盛んで、レストランに卸したり販売をしたりして生計を立てている人もいます。

メキシコでは、路上でバッタのスナックを販売

メキシコでは部族ごとに昆虫食の伝統があり、昔は約230種類の昆虫を食用にしていたといわれています。現在でも露店でバッタのスナックが売られていたり、イモムシを蒸留酒に入れたりするなど、昆虫食文化が根付いています。メキシコの代表的な料理であるタコスやトルティーヤの具材にすることも多く、レストランにも登場しています。

アフリカでは、シロアリ類とイモムシ類が人気

アフリカでは、地域や部族によって違いはありますが、アリやイモムシなど多種多様な昆虫が常食とされています。昆虫食産業としては発展していませんが、都市部を中心に昆虫食の需要が増えているようです。

今、世界がコオロギに注目している理由

このように世界では、多くの昆虫が食べられています。日本でも珍味と呼ばれる人気の昆虫もあり、栄養の観点からも優れた食材として見直されています。そして今、世界の昆虫食の中でも栄養・味ともに高いの評価を得ている昆虫が、コオロギなのです。その理由を以下にて紹介します。

1.コオロギは雑食で育てやすい

コオロギは、「蚕=桑の葉」のように特定の餌を必要としないためエサの選択肢が広く、育てやすい特徴があります。またその雑食性から人が捨ててしまった食品を食べてくれるので、食品ロスの問題に貢献する可能性もあります。コオロギは地球を救う食材として、期待が寄せられているのです。

2.他の家畜と比べ、環境負荷が少ない

コオロギは他の家畜と比べ、飼育時に必要な飼料や水が圧倒的に少ないため、環境負荷が軽くなります。1kgのタンパク質を生産するのに必要な飼料は、牛や豚、鶏の場合は平均して5.8kgですが、コオロギなら1.7kgで済みます。

加えて、一定の環境条件が整えばどこでも生産することができるため、広大な土地を必要としません。遊休地や空きビルなども活用できます。さらに地球温暖化の一因となる温室効果ガスの排出量も、家畜由来に比べコオロギの飼育の場合は少ないため、未来の地球環境を守る役割もあるといえるでしょう。

引用元: 出典元 ・温室効果ガス:Oonincx et al., 2010. ・水の量:Pimentel et al., 2004. ・餌の量:van Huis, 2013.

3.栄養豊富な次世代タンパク質

テーブルの上に並べられたタンパク質食品とPROTEINと書かれたボード

コオロギは高タンパクであることに加え、亜鉛・鉄分・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルやビタミン、不飽和脂肪酸を豊富に含んでいるので、「次世代のタンパク質源」としての活用が期待できます。

さらに、キチン質という食物繊維も多く含まれているので、腸内環境を整える効果も期待できます。糖質も低く、機能性食材としても有望なので、健康な体を作るのに非常に有用な食材になります。

4.生育が早く、大量生産に向いている

コオロギは生育期間が短く、1〜1.5ヵ月で成虫になります。一度に産む卵の量も多いため、短期間で大量に生産することができます。また、繁殖しやすく扱いやすいという点がコオロギの食用生産につながりました。

5.エビのように香ばしくておいしい

お皿の上に並んだエビと柑橘類のカットフルーツ

コオロギの食味は「陸のエビ」とも言われるほど美味しく、エビのように香ばしい風味が特徴です。

グリラスでもコオロギを使用したさまざまな食品を製造しています。

コオロギフードを試すならこちら

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昆虫食のおいしさを広めるのは、あなたかもしれない

テーブルの食事を目の前に満足げな表情の女性

昆虫以外にも、形の変わった「なまこ」や「うに」などの食べものを食べられるのは、最初に「勇気ある誰か」が口にして、美味しさを広めてくれたからです。コオロギは、健康・環境の両面で世界的に見直されている昆虫です。コオロギの美味しさを世界に広めるのは、あなたの勇気かもしれません。食料問題を解決すると言われ、世界的に見直されている昆虫食。ぜひトライしてみましょう。

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