
- コオロギ・昆虫食
- 2021.12.22
昆虫食、そしてタンパク質豊富なコオロギフードに大注目!
サスティナブルな社会を目指す観点から、今脚光を浴びている昆虫食。なかでも食用のコオロギの人気が高まっています。コオロギってどんな味なの? 栄養価は? 粉末状になったコオロギなら食べやすいってホント? などなど、コオロギフードの真相に迫ってみました。
食用コオロギは、未来を見据えた地球に優しい食材

現代において家畜の生産は、環境悪化の一因となっています。家畜の生産だけでも、人間が誘発する温室効果ガスの排出量の約15%を占めているからです※。そこで今、一般的な家畜に比べて環境負荷が軽く、未来を見据えた地球に優しい食材として注目されているのが、昆虫です。さらに昆虫は栄養価に優れタンパク質も豊富なので、健康面においても今後ぜひ取り入れたい食材として期待が寄せられています。なかでもコオロギは、育てやすく味が良いことから、世界的にも人気が高まっています。
※「最強の食材コオロギフードが地球を救う」野地澄晴(17ページ)
コオロギが注目されているワケ

1.繁殖力が高く、通年生産ができる
コオロギは繁殖力が高い昆虫です。ある研究では、1,000匹のコオロギが1年後には477兆匹になるという試算があるほど※。一度に産む卵の量も多くすぐに成虫になるので、短期間での大量生産が可能なのです。
また、最近では高密度飼育の技術が確立され、効率的に大量飼育ができるようになりました。季節を問わず通年生産することもできるので安定的な供給が可能となり、食料問題の解決に寄与することが期待されています。
※徳島大学の研究チーム試算
2.食品ロスを餌にして飼育できる

雑食性のコオロギはエサの制限が少ないため、世界中で発生している食品ロスをエサとして飼育することが可能です。
日本では年間約600万tの食品ロスが発生しており※、国民一人当たりに換算すると、毎日お茶碗1杯分のごはんを棄てていることになります。この食品ロスをコオロギのエサとして再利用することは環境負荷を軽くするだけでなく、餌のコストがかからないという経済的なメリットも生みます。
本来捨てられるはずの食品ロスをエサとして活用できるコオロギは、捨てられてしまう食品から新たなタンパク質を生み出す循環型の食材であり、今後持続可能な社会の構築に求められる「サーキュラーフード」になると考えられています。
※環境省「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成30年度)の公表について」
栄養価の高さも評価のポイント

1.重量の70%以上がタンパク質
乾燥させたコオロギを粉末状にした「コオロギパウダー」は、重量の約76%がタンパク質です。これは肉や魚の約3倍もの量なので、コオロギパウダーはタンパク質を効率良く摂取できる食品になります。また、健康な体の形成・維持に欠かせない9種類の必須アミノ酸も全て含まれています。必須アミノ酸は体内では作られないため食事から摂取する必要がありますが、コオロギが使われた食品を摂取することで、バランスよく補うことができます。
グリラスパウダーの栄養成分(100gあたり)
水分 | 2.9g |
タンパク質 | 76.3g |
脂質 | 10.8g |
灰分 | 4.5g |
炭水化物 | 5.5g |
ナトリウム | 348mg |
食塩相当量 | 0.884g |
※日本食品分析センターにて分析(平均)
2.「オメガ3」「オメガ6」が豊富
コオロギは、タンパク質(必須アミノ酸)だけでなく、脂質・亜鉛・鉄分・カルシウム・マグネシウム・ビタミンなど、さまざまな栄養素をバランス良く含んでいます。また、血液中のLDLコレステロールを下げる効果のある「オメガ3」と「オメガ6」も豊富に含まれています。これら2つの栄養素は必須脂肪酸とも言われており、体内では作りだすことができません。健康志向の人には特に早く取り入れてほしい食材です。
食用コオロギってどんな味がするの?

多くの人がコオロギフードに対して「どんな味がするの?」という疑問を抱きます。実際に、コオロギパウダーを使用したせんべいを知らずに食べた人からは、「エビせんべい」という答えが返ってくるそうです。コオロギの味はエビに近く、また、雑穀やナッツのような香ばしさも特徴です。
日本に多く分布するコオロギは「エンマコオロギ」ですが、年に1度しか孵化しないので、食用には向きません。食用に適しているのは「フタホシコオロギ」と「ヨーロッパイエコオロギ」の2種類。フタホシコオロギは、力強いうまみと香ばしさを持ち、ヨーロッパイエコオロギは、繊細で上品な風味を特徴としています。両方とも、独特な臭いなどはほとんどありません。
実はコオロギの味は、食べたエサによって変わります。すだちを食べさせると、すだちの香りのするコオロギになることも。よってコオロギは将来、味比べなどで風味を楽しめる魅力的な食材にもなり得るのです。
粉末状のコオロギパウダーで活用の幅が広がる

食用コオロギは、未来に向けて開発されている食材ということもあり、日本国内では従来の伝統食のようにそのまま食べるというより、粉末状に加工し流通されることが多くなるでしょう。
従来の佃煮のような食べ方だと、煮詰めた醤油や砂糖といった同じ味になりがちですが、粉末にすることでさまざまなメニューに使うことができ、料理の幅が広がります。また、粉末状にすることで抵抗感なく、健康・美容の目的としても美味しく食べられます。現在ではそのまま料理に混ぜることができるものや、粉末を他の食材に混ぜ合わせている商品も多数登場しています。
一般的には粉末状のものが多く出回っていますが、グリラスでは、粉末にする加工過程で生まれるエキスやオイルも食品原料として使用しています。
コオロギフード、どんな商品が出ているの?

1.クランチ
開発者も「他のお菓子に使う原料と遜色なく作ることができた」と言うほどグリラスパウダーが馴染んだのが、クランチです。チョコの甘さとコオロギパウダーの香ばしい風味が絶妙なハーモニーを醸し出している「C. TRIA(シートリア) クランチ」は、大豆パフとの組み合わせでタンパク質含有量が40%もあります。おやつ感覚で手軽にサクサクと食べられるので、コオロギフードが初めての人にもおすすめです。
2.パンやケーキ
コオロギパウダーの芳香な香りは酵母と相性が良いので、パンやケーキにもよく利用されています。コオロギパウダーを使ったパンの中でも、噛むほどにコオロギの香ばしさや旨味が広がるのが「C. TRIA ブレッド」です。「C. TRIA ブレッド」は冷凍による長期保存が可能なので、いつでも焼きたての味わいを楽しむことができます。味は、カイザーロール・大豆紛ロール・高菜フランス・ごぼうフランス・くるみチーズ・こしあんフランスの6種類があります。
コオロギフードについて詳しく知りたい人はこちら↓

Gryllus Online - グリラスオンライン|グリラス公式通販
グリラス公式オンラインストア。フードロスからコオロギを育て新たなタンパク質を生み出すサーキュラーフードブランドC. TRIA(シートリア)を展開中。「未来の循環食」を是非お楽しみください!
3.せんべい
コオロギの香ばしさが引き立つせんべいやスナックは、多くの商品が登場しています。中でも人気なのは、2020年5月に発売された無印のコオロギせんべい。エビせんべいのような素朴な風味と軽い食感が後を引き、コオロギということを忘れそうなほどついつい手が伸びてしまうせんべいです。ちなみにこのせんべいの材料を提供しているのは、「C. TRIA クランチ」や「C. TRIA ブレッド」などを作っているグリラスです。
無印良品の「コオロギせんべい」は、店舗限定・数量限定で販売している人気商品なので、気になる人は随時チェックしてみてください。
4.プロテイン
コオロギフードのタンパク質含有量が注目を浴び、粉末状のコオロギパウダーが入ったプロテインが海外で人気です。コオロギプロテインは、従来のプロテインに比べ特有のクセがまったくないので、いろいろなドリンクに混ぜて手軽にタンパク質を摂取することができます。乳製品は体に合わないけれども、動物性タンパク質を手軽に摂取したいという人におすすめです。
5.コーヒー
コオロギをローストして淹れたコーヒーも美味しいと話題を呼んでいます。コオロギ本来の香ばしさはまろかやなコーヒーと相性が良く、苦みも雑味もないコーヒーになります。昆虫食に抵抗がある人や初めての人でもチャレンジしやすい飲料です。
6.醤油
コオロギを発酵させて調味料にしたものも、原形をとどめていないので、初心者でも試しやすいです。特にコオロギ醤油はコオロギ由来の香りと旨味があり、さまざまな料理に活かすことができると話題を呼んでいます。
7.ラーメン
コオロギの出汁に、コオロギ醤油を使ったタレ・コオロギから作った特製の油・コオロギを練り込んだ麺などを入れ、コオロギラーメンを提供しているお店もあります。スープから麺までコオロギ尽くしのコオロギラーメンは、なんと1杯に100匹以上のコオロギが使われているそうです。
そのほかにも、焙煎したコオロギとローストモルトを麦汁に加え、コオロギの香りとうま味を引き出したコオロギビールもあります。
お菓子など手軽なものから家族や友達と試してみて

コオロギフードには、エビやカニなど甲殻類と類似した成分が含まれているため、エビやカニのアレルギーを持っている人はくれぐれも注意して召し上がってください。「食べてみたいけどちょっと勇気がない」という人は、まずはお菓子など手軽なものから、家族や友達と楽しみながらチャレンジを。「意外といける!」「もっと食べたい!」という声で盛り上がるかもしれません。
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