人気料理家・樋口直哉さん直伝!家庭で作れる「うま味たっぷりコオロギパウダーレシピ」

人気料理家・樋口直哉さん直伝!家庭で作れる「うま味たっぷりコオロギパウダーレシピ」

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あなたはコオロギのパウダーを知っていますか? その名の通り、コオロギを乾燥して粉末にしたもので、高タンパクかつ食品ロスや環境問題にも有効な原材料として、近年注目を集めています。

今回は人気料理家の樋口直哉(ひぐちなおや)さんにグリラスマガジン編集部がインタビュー。コオロギのパウダーとの出会いや魅力から、この記事のために作ってもらったコオロギのパウダー料理レシピをご紹介します。

本記事でご紹介するグリラスパウダー(コオロギパウダー)はこちら!

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樋口直哉さんプロフィール

作家・料理家。料理の世界で働きながら、2005年『さよなら アメリカ』(講談社)で第48回群像新人文学賞を受賞し、作家としてデビュー。その他に『スープの国のお姫様』(小学館)、『おいしいものには理由がある』(角川書店)、『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)、『樋口さん!定番メニューをおいしく作るコツ 教えてください!』(オレンジページ)など著書多数。現在は、作家と料理家の二足のわらじで多才に活躍中。オフィシャルnote

食べ物と地球の見過ごせない関係

樋口さん

料理家でありながら、文筆活動も行っている樋口さん。ただ、"食べて美味しい"料理を研究しているだけでなく、世界の食文化を探究し続ける日々のなかで、昆虫食についてこう語ります。

「世界はこれから、自ずと昆虫食に目を向けざるを得ないと思っています。世界の食糧消費の偏りや温暖化による異常気象といったさまざまな要因から、今の食生活を続けていくことが不可能に近いからです。
みんなが大量の肉や特定の魚だけを食べていれば、生態系も崩れていきます。地球全体を正常に保つためには、環境問題に配慮すること、そして偏りなくいろいろな食べ物を選んでいくことが必要です」

探究心旺盛な樋口さんの本棚にあった世界の昆虫食についてまとめた洋書

「そういった意味で昆虫食は、今後世界が注目せざるを得ない食材です。特にコオロギは養殖コストが低いことや、味が取っ付きやすいことなどから、先駆けて注目されていくはず」

料理家が感じたコオロギパウダーの可能性

どんなお話も熱心に、そして楽しそうに答えてくれる姿にクギ付けの取材でした

「僕がコオロギを初めて口にしたのは、日本のレストランでした。コオロギビ―ルやコオロギスナックなどを食べましたが、うま味が豊富で意外に食べやすく、面白い食材だなと感じました。

昆虫食は世界の料理界から注目されていますが、もともとはヨーロッパよりも日本をはじめとするアジアの方が縁のある文化です。ただ、それは野生の昆虫を採集する文化であって、コオロギのような養殖とは違う。そこをまず理解する必要があります。コオロギは養殖なので、味をコントロールすることができ、だからこそなにかと合わせることで本領を発揮する食材になります」

こちらがグリラスパウダー

「その後、仕事でよく行く徳島県にグリラスの工場があると知り、見学させてもらったんです。実際にグリラスパウダー(※)を料理してみると汎用性が高いなと感じました。

グリラスパウダーは煮干しと干しエビの中間のようなうま味の強い食材です。いろいろな料理で試したなかでは、例えばソースの隠し味に向いているかな。まだまだ大きな可能性を秘めていると思います」

※グリラスパウダー:グリラス社が飼育する国内生産のフタホシコオロギを使った食品用パウダー

グリラスパウダーを使った絶品レシピを紹介!

調理

「昆虫食はこれから世界が注目せざるを得ない」と語ってくれた樋口さんですが、そうはいっても「見た目を想像すると食べづらい」という取っ付きづらさを感じている人は多いのではないでしょうか。そんな質問をすると、樋口さんは笑ってこう話してくれました。

「たしかにそうですよね。でも、そんなこといったら、エビだって昆虫と似たような見た目だと思いませんか? 人間は長い時間をかけて、食べられそうにもないものを、美味しく調理してきたわけです。だから、コオロギも食文化として浸透してくれば、見た目は気にならなくなってきますよ」

ということで今回は、樋口さんおすすめのコオロギのうま味を活かした、家庭で作れる絶品レシピを2品教えてもらいます。

【1品目】にんじんのステーキ アイオリソースとグリラスパウダー

「家庭でもよく余らせてしまいがちなニンジン。香ばしく焼くと、グリラスパウダーとの相性が抜群なんです。グリラスパウダーには独特のスパイスっぽい後味があるので、スパイスとの相性もいい。特に相性がいいと感じたのがクミンです。
野菜ステーキのコツは、じっくりと焼くこと。野菜本来の甘味と、コオロギのスパイシーさがベストマッチ!」

【材料】
ニンジン:1本
塩:適量
パセリのみじん切り:適量

〈アイオリソース〉
マヨネーズ:大さじ2
牛乳:小さじ2
にんにくチューブ:少々

グリラスパウダー:少々
クミンパウダー:少々(又はカレー粉)

①マヨネーズ・牛乳・にんにくチューブを混ぜ、アイオリソースを作る

②ニンジンは半分に切り、1%の塩水で10分ゆで、ザルなどにあげて水気を切る

③オリーブオイル大さじ1をフライパンに引き、②のニンジンを並べて中火にかける。パチパチと音がしてきたら弱火にし、両面をこんがりと焼く。焼き上がりにパセリのみじん切りを加えさっと火を通し、にんじんに塩を適量振りかける

④皿にアイオリソースを引いて、③のニンジンを盛り付ける。最後に、グリラスパウダーとクミンパウダーを混ぜたものを茶こしで振りかけたら完成

「グリラスパウダーは振りかけるのではなく、そのままマヨネーズやアイオリソースに入れて混ぜてもOK。
ニンジン以外にも大根やれんこん、カリフラワーなどに合うディップソースが簡単に作れますよ」

【2品目】コオロギ風味のカルボナーラ

「グリラスパウダーは油と相性が良く、ベーコンの油と混ざると燻製のような深い風味を生み出します。
パウダーの色が、カルボナーラが"炭焼きパスタ"と称される理由であるコショウの黒さを手伝ってくれる効果も」

【材料】
卵黄:4個
パルミジャーノチーズ:10g
黒コショウ:少々
厚切りベーコン:80g
オリーブオイル:大さじ1
グリラスパウダー:小さじ1
白ワイン:大さじ1
スパゲッティ1.8〜1.9mm:140g

①厚切りベーコンを5mm幅に切る

②ボウルに卵黄・パルメジャーノチーズ・黒コショウを混ぜ合わせる

③鍋に湯1Lを沸かし、1%の塩分濃度になるように塩を加え、スパゲッティを袋の表示時間からマイナス30秒ゆでる

④フライパンにオリーブオイルとベーコンを入れて、中火で焦げ目がつくまで加熱し、グリラスパウダーを入れる

⑤白ワインを加えて火を止めてから、②と③をフライパンに加えて混ぜる

⑥皿に盛り付けたらたっぷりの黒コショウと、お好みでグリラスパウダーを茶こしで振りかけたら完成

「ベーコンの代わりに厚揚げで作ると、ベジタリアン風のカルボナーラに。肉が入っていなくてもパウダーに旨味があるので、食べ応えのある料理が作りやすいですよ」

アレンジも無限大!調味料としての選択肢に

出来上がった料理は、どちらもコオロギの美味しさが活かされていて、編集部一同そろって大絶賛。昆虫食は初めてというメンバーからも「コオロギってすごく食べやすい!」という声が上がるほど。

「うま味とスパイス感がグリラスパウダーのいいところなので、何かと組み合わせることで美味しさが増します。例えば麻婆豆腐に山椒と一緒に振りかけたり、たこ焼きの干しエビ代わりに入れたりするのもいいですね。
手軽なものならカップラーメンやインスタントスープに入れたり、納豆や醤油の発酵食品と混ぜたりするとうま味が引き立ちますよ。

肉類にも合いますが、厚揚げや野菜ステーキなど、肉の代わりになる食材とコオロギパウダーを合わせると、肉がなくても満足できる料理になります。しっかり旨味が詰まっているので、淡白な食材と合わせても味がそっけなくなりづらいんです。ダイエットメニューにも適しているんじゃないかな」

と、好奇心旺盛な樋口さんからは、次々とグリラスパウダーのアレンジレシピや活用方法が生まれてきます。
うま味と地球環境への可能性が詰まったグリラスパウダー、使い方はまだまだ無限大。樋口さんのレシピを参考にしながら、まだ世界のレストランでも食べられない、あなただけのコオロギレシピを見つけてみては?

本記事でご紹介したコオロギパウダー(グリラスパウダー)はこちら!

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Photo_Shigeo Kosaka Interview & Text_Shiori Mikuni Edit_Yasushi Shinohara

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