
- コオロギ・昆虫食
- 2021.12.22
昆虫食を試す前に知っておきたいメリット・デメリット
昆虫食は社会問題や環境問題を解決する注目の食材です。しかし、昆虫食に興味があるものの、その危険性やデメリットが心配な人もいるのではないでしょうか。昆虫食のメリット・デメリットと、昆虫食の食べ方や食べるときの注意点をまとめて確認していきましょう。
昆虫食とは?

昆虫食とは、その文字通り昆虫を料理したものです。主にカブトムシなどの甲虫や、バッタ、イナゴ、セミ、蜂、幼虫、芋虫が食されています。
日本では、かつて昆虫食の文化が根付いていたものの、食の西洋化とともに一部地域のものとなってしまいました。ですが近年はコオロギやカイコなどを中心に、新たな食文化として浸透しつつあります。また、東南アジア諸国では今でも昆虫食が一般的な地域があり、南極以外のすべての大陸に昆虫食文化があるといわれています。
メキシコでは約300種類、世界では500種類もの昆虫が食べられていると推測されていましたが、国連食糧農業機関(FAO)は、2013年に世界約20億人が1900種類を超える昆虫を食べていると発表しました。
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今なぜ「昆虫食」が注目されているの? 環境問題を支えていく昆虫とは "
近年、「昆虫食」が世界で注目を集めています。「そうは言っても虫を食べるなんて…」と思うかたは少なくないかもしれませんが、世界では日常的に食している国もありますし、日本でもかつては昆虫食がスタンダードだった時代があるのです。…
昆虫食の市場規模は世界的に広がっている!

世界の市場規模は2025年には1,000億円といわれている
現在、昆虫食は食糧危機や環境問題への意識が強い欧米諸国を中心に、注目を集めています。2018年には、欧州連合(EU)が昆虫を食品として認可し、自由な取引を承認しました。
日本能率協会総合研究所の発表によると、世界の昆虫食市場規模は2019年度の70億円、2025年度には約14倍の1,000億円規模に達すると試算されています。昆虫食市場の拡大が見込まれる背景には、食糧危機に対する意識の高まりだけでなく、昆虫がパウダー状にされるなど、食べやすい昆虫食が開発され、実際に販売され始めていることも関係しています。
日本には昆虫食文化が根付いてきた
日本には、伝統的な昆虫食文化が残っています。長野や岐阜県などでは、イナゴの佃煮やへぼ飯(蜂の子ご飯)が今でも食べられています。お土産や物産展で目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
日本で食されている昆虫は、イナゴやスズメバチ類の幼虫が代表的です。ほかにも、タガメ、ゲンゴロウ(柳の虫)・ブドウスカシバの幼虫(えびづるの虫)なども、砂糖と醤油で煮たり、素揚げにしたりとさまざまな調理方法で食べられています。
昆虫食のメリットと注目の理由とは?

温室効果ガスの排出量が少ない
昆虫の生育は、牛や豚などに比べて温室効果ガスの排出が圧倒的に少ない傾向にあります。
地球温暖化の原因の1つである温室効果ガス。全世界で排出される温室効果ガスの約14%は畜産業によるもの※です。原因としては、餌の生産や輸送、糞尿の処理、牛のゲップなどが挙げられます。
昆虫食の代表であるコオロギを生育する場合、たんぱく質1kgあたりの温室効果ガス排出量は、牛の28分の1、豚の11分の1と、かなりの排出を抑制できます。
※国連食糧農業機関(FAO)の調査
タンパク質など栄養価が高い
昆虫食は、次世代のスーパーフードと言えます。昆虫によって、含まれる栄養素は異なりますが、主にタンパク質や不飽和脂肪酸、カルシウム、鉄、亜鉛などを含みます。なかでも、タンパク質を豊富に含んでいるため、牛や豚肉の代用品として注目されています。
とくに、乾燥させた昆虫は、栄養素を接種しやすいというメリットがあります。例えば、粉末コオロギ100gあたり、タンパク質は約76g摂取が可能です。同じ量のタンパク質を摂取するには、鶏むね肉なら約300g、牛乳なら2L、卵なら10個以上食べる必要があります。
成長スピードが速く短期間で大量出荷ができる
昆虫は、牛や豚に比べて成長スピードが速く、短期間で大量出荷ができるため、食糧危機の対策や安定した食料の供給につながります。
例えば、コオロギであれば産卵から出荷までは1~1.5か月なのに対して、肉用牛が出荷されるのは約30ヵ月、豚は約3ヵ月かかります。※
さらに、牛や豚は非可食部があるため食品廃棄物が発生しますが、コオロギなら非可食部がないため、食品廃棄物は発生せず、環境負荷も少ないといえるでしょう。
※東京都中央卸売市場「牛・豚の基礎知識 - 牛・豚の出荷」
低コストで生産できる
昆虫の飼育には、牛や豚、鶏のように広い土地を必要としません。なおかつ、少ない飼料と水で生産が可能なため、少ないコストで生産が可能です。
牛肉を1kg生産するには、約8~10kgの飼料と2万2,000Lもの水を必要とします。ところが、昆虫を同じ量だけ生産する場合は、飼料1.7~2kg、水4Lで済むのです。1kg収穫するために飼料がどれだけ必要なのかを表す数値「飼育交換率」で牛と昆虫を比較すると、可食部で7倍~10倍も差があります。
加工がしやすく幅広く活用できる
肉類と違い、昆虫は解体する必要がありません。調理する際も、切らずにそのまま揚げたり煮たりして食べられます。また、小さく火の通りも早いため、比較的簡単にペーストにしたり、乾燥させてパウダー状にできるため、肉に比べて加工の手間がかかりません。
パウダーやペースト状にした昆虫は非常に便利で、さまざまなアレンジができます。例えば、小麦粉と混ぜれば、パスタやラーメンなどの麺やパン、クッキーが作れます。豊富なタンパク質を含むことから、プロテインバーやプロテイン入りのスナック菓子として活用することもできるでしょう。
昆虫食のデメリットと注意点

野生の虫だと衛生面や毒の心配がある
野生の昆虫を自分で捕まえて食べてみたい、と考える人もいるかもしれません。しかし、食用として生産されていない昆虫は、寄生虫や病原菌を持っている可能性があるためおすすめできません。
野生の昆虫を食べるというときは、しっかりと洗浄と加熱をしてください。加熱すれば、昆虫が持つ寄生虫や病原菌、そして毒は死滅しますが、中には加熱しても残る毒もあります。そのため、食用として販売されていない虫を食すのはリスクがある行為です。
安心して昆虫食を楽しむためには、国産で養殖されているなど、食用として安全性の高い昆虫を選ぶようにしましょう。
食材としての認識が薄く見た目に抵抗を感じられやすい
昆虫食が注目されているとはいえ、多くの人にとって昆虫はまだまだ未知の食物です。人間は、食べたことがない食物に対して警戒心を持つ「食物新奇性恐怖」という習性を持っています。そのため、昆虫をたべたことがない人は、昆虫食に対して拒絶反応が出てしまうことがあります。
また、昆虫は食物というよりも、農作物に害をもたらすものや駆除する対象と認識されています。そもそも、昆虫そのものの見た目が苦手だという方は多いことでしょう。そのような昆虫を口にするのは、多くの人にとっては勇気がいる行為と言えるでしょう。
昆虫を食べる際のポイント

昆虫食の調理方法は、煮る・焼く・炒める・揚げるが基本です。昆虫を安全に食べるには、どの調理方法であっても、昆虫の中心温度が75度以上の状態で1分以上加熱して殺菌消毒しましょう。しっかり火を通すことで、ほとんどの細菌は死滅します。
沸騰したお湯に虫を入れて、2、3分茹でた後に油で揚げたり焼いたり、調理するとよいでしょう。佃煮や唐揚げ、バター醤油などで食べるのが代表的です。ただし、パウダーやペーストなどに加工済みの商品は、既に処理されていますので、過熱による殺菌消毒は不要です。
このような工程が面倒な方や昆虫食に慣れていない初心者の方は、加工済みの商品を購入してみてはいかがでしょうか。粉末にしたコオロギを混ぜたブレッドやクッキーなら、すぐに食べられますよ。
C. TRIA(シートリア)ブレッド
「C. TRIA ブレッド」は、生地に練り込まれたコオロギパウダーの香ばしさと深い旨味が特徴です。イザーロール・高菜フランス・くるみチーズ・大豆粉ロール・ごぼうフランス・こしあんフランスの6種類の味が楽しめるので、朝ごはんや料理のお供として手軽に昆虫食を食していただけます。
C. TRIA クランチ
おやつとして昆虫食を食べられるのが、「C. TRIA クランチ」です。香ばしいコウロギパウダーは、程よい甘さのチョコレートと大豆パフとの相性がばっちり。サクサクとした食感を楽しむことができます。
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正しい情報を知り、昆虫食を安全に楽しむ

昆虫食には、デメリットだと感じられる要素もありますが、「しっかり加熱する」「昆虫の原型をとどめていない粉末を選ぶ」など正しい方法で調理し、食べる工夫をすれば、多くの人にとっては大きなデメリットは見られません。
とはいえ、自分で昆虫を調理するのはまだまだハードルが高いという方も多いと思われるため、昆虫食初心者の方は、まずは手軽に食べられる加工済みの昆虫食から始めてみるのがおすすめです。