
- コオロギ・昆虫食
- 2022.01.17
【食用の昆虫】世界が注目するのには理由があった!安全な選び方とは
世界で昆虫食が注目を集めています。最近、昆虫食について紹介する芸能人やYouTuberなどを目にする機会も増えてきました。「でもちょっと抵抗がある…」「安全なの?」といったことが気になる人もいるかもしれません。そこで昆虫食が注目されている理由のほか、昆虫食の安全性についてご紹介します。
今、昆虫食が注目されているのはなぜ?

2013年、国連食糧農業機関(FAO)は貴重なタンパク源として「昆虫食」を推奨する報告書を発表しました。世界人口の増加による食料不足対策として今、昆虫食が注目されています。
世界には、経済的な理由から健康的な食事を摂ることができない人々が約30億人も存在しています※。世界人口の半分弱が、満足のいく食生活を送れていないのです。よってこれからは、さまざまな側面に配慮した持続可能な方法で栄養のある食べ物を作り、食の不均衡を解決することが求められます。
昆虫は、牛・豚・鶏などの家畜に比べてタンパク質含有率が高い上に飼育時の環境負荷も軽いため、持続可能な食を実現する食材として、活用が期待されています。また、安価に入手できる食材の一つでもあるため、経済面においても有望な栄養源になると考えられており、食用としての開発が進んでいます。最近ではお菓子やパン、調味料などにも使われ始めており、世界的にも昆虫食の市場は拡大しています。昆虫が食材の選択肢の一つになる日が来るのも、そう遠くないかもしれません。
※国際連合食糧農業機関「世界の食料安全保証と栄養の現状(SOFI)」(2021年)
昆虫は世界で日常的に食べられている

昆虫が持続可能な食を築く可能性を秘めているとはいえ、「普段昆虫を食べ慣れていないから、虫を食べる文化が根付かないのでは?」と思われるかもしれません。しかし必ずしもそうではなく、世界では昆虫が日常的に食べられています。
世界ではコオロギやバッタなど、約1,900種類もの昆虫が食べ物として扱われており、約20億人以上が昆虫を食べています。FAOの調査によると、現在世界で最も多く消費されている昆虫は甲虫(31%)です。次いでイモムシ(18%)、ハチ・狩ハチ・アリ(14%)、バッタ・イナゴ・コオロギ(13%)と続きます※。
日本でもかつては昆虫を常用的に食していました。大正時代の調査では、食用の昆虫は55種類ほどいたといわれています。現在でも一部の地域でイナゴや蜂の子などが食されています。
※内閣府 食品安全委員会 食品安全総合情報システム「国際連合食糧農業機関(FAO)、食品及び飼料における昆虫類の役割に注目した報告書を公表」
世界で食べられている昆虫食について詳しくはこちら↓

今なぜ「昆虫食」が注目されているの? 環境問題を支えていく昆虫とは
近年、「昆虫食」が世界で注目を集めています。「そうは言っても虫を食べるなんて…」と思うかたは少なくないかもしれませんが、世界では日常的に食している国もありますし、日本でもかつては昆虫食がスタンダードだった時代があるのです。...
昆虫食のメリットとは

1.地球環境に優しい
牛・豚・鶏の飼育には、広大な敷地と大量の飼料が必要となるため、そこから森林破壊や環境汚染につながる恐れがあります。しかし昆虫は、飼育に必要な餌や水の量がこれらの家畜に比べて圧倒的に少ないため、資源を有効に活用できます。
さらに地球温暖化の一因といわれる温室効果ガスの排出も極めて少なく、タンパク質1kgを生産する際に排出される温室効果ガスの量が、牛2.8kg・豚1.1kg・鶏0.3kgであるのに対し、昆虫は0.1kgです※。これらの数値も、昆虫が持続可能な食になり得ることを証明しています。
※内閣府 食品安全委員会 食品安全総合情報システム「国際連合食糧農業機関(FAO)、食品及び飼料における昆虫類の役割に注目した報告書を公表」
2.タンパク質などの栄養が豊富

文部科学省の食品成分データベースで算出すると、100gあたりのタンパク質含有量は、牛のもも肉21g・豚のもも肉22g・鶏むね肉23gに対して、コオロギ(グリラスパウダー)は約76gもあります。さらに豊富なのはタンパク質だけでなく、繊維・銅・鉄・マグネシウム・マンガン・リン・セレン・亜鉛などの微量栄養素もふんだんに含んでいます※。よって昆虫は、栄養補助食品としても大いに役立つといえます。
※文部科学省「食品成分データベース」
3.大量生産に向いている
昆虫は一定の環境条件が整えば、どこでも飼育することができます。大規模な土地を必要とせず、ビルの屋上や建物内などでも飼育が可能なので、限られたスペースを有効活用できます。また養殖であれば生態系にも左右されず生育も早いため、大量生産が可能です。効率の良い生産はコスト削減にもつながるため、昆虫を食用化することは経済的なメリットも生みます。これらの要素から昆虫は、将来安定的に食べられる食材になると考えられています。
昆虫食にデメリットがあるとしたら

1.アレルギーに注意が必要
昆虫は、甲殻類(エビ・カニなど)と同じ無脊椎動物です。エビの尻尾の成分も、実は同じ。よって昆虫も香ばしくて美味しい反面、甲殻類アレルギーを持つ人は、その症状が起きる可能性があります。この点に注意しましょう。
2.見た目に抵抗がある
昆虫を日常的に食べたことがない人は、その見た目から食欲が湧かなくなるのも無理はありません。人間は誰でも、初めて見る食べ物に対して恐怖心や警戒心を抱きます。この心理作用を心理学の世界では「食物新奇性恐怖」といい、雑食性の人間が自分の体を守るために備わっている機能だと考えられています。
エビやシャコなどの節足動物の外見は昆虫とよく似ていますが、小さい頃から食べ慣れているため食物新奇性恐怖が働かず、大人になっても何の躊躇もなく食べられます。昆虫も同様で、小さい頃から食べ慣れていたら、大人になっても見た目に抵抗なく食べられるでしょう。
今はさまざまな食品会社が、見た目に配慮した昆虫食を開発しています。使用される昆虫は粉末化され、お菓子・パン・カレーなど、日常的においしく食べられるように加工されています。よって近い将来、美味しく加工された昆虫食が一般的に流通すると考えてよいでしょう。
3.美味しいのか
虫を食べることがテレビで罰ゲームのように扱われていることもあり、世間一般では美味しくないというイメージが広がっています。でも実際のところ、「食べて見ると意外に美味しい!」という声が多く、昆虫の美味しさが見直されつつあります。
なかでも世界中で養殖されているミールワーム(甲虫の幼虫全般)は脂肪分が多く、旨味もたっぷり。そのまま衣を付けて唐揚げにすると、おつまみ感覚で食べることができます。ミールワームはEUのノベルフード(健康や環境への安全性が認められた食品)にも選ばれているため、今後は他の昆虫も選ばれる可能性が高いといえます。
またコオロギは、エビのように香ばしくて美味しいと評判です。とくに食用に加工されているコオロギは餌も管理されてるため、昆虫自体の味も美味しく加工されています。コオロギの食用化は世界的にも進んでおり、さまざまな国で養殖され市場に流通しています。
食用のコオロギについて知りたい人はこちら↓

病気や寄生虫の心配はないのか

昆虫のなかには、デング熱やマラリアなど一部の病気を媒介するものもいることから、「昆虫を食べると病気になってしまうのでは?」という不安を抱く人もいます。しかしFAOは、昆虫食について「昆虫が他の食材のように衛生的な環境で扱われる限り、病気や寄生虫が人間に伝染された事例は知られていない」とはっきり明示しています。よって収穫をメインとした従来型の昆虫食と異なり、衛生管理を徹底している養殖は安全性が高いといえます。
昆虫食を選ぶときのおすすめポイント

食用のものを選ぼう
昆虫を美味しく安全に食べるためのポイントは、飼育環境や加工環境の衛生管理が徹底的に行われている所で生産された昆虫を選ぶことです。
コオロギ養殖を行うグリラスでは、フタホシコオロギのアルビノ系統(白眼)のみを飼育しています。あえてアルビノ系統を飼育するのは、外から一般的な黒眼のコオロギが紛れ込んだ場合でもすぐに判別し除去できるからです。このような品質を担保しているものを食べることも大切なポイントです。
見た目が苦手な人は粉末化されたものを
見た目にどうしても抵抗がある人や初めての人には、昆虫を粉末化したものや、粉末が食品に練り込まれているものなどからトライしてみるのがおすすめです。
C. TRIA(シートリア)は、食品ロスからコオロギを育て、新たなタンパク質を生み出す循環型食品「サーキュラーフード」に特化したブランドで、国内で生産された食用コオロギを粉末化した「グリラスパウダー」を、パンやクランチ、カレーなどに配合しています。
地球に優しい昆虫食を試してみませんか

世界では、甲虫・イモムシ・ハチ・アリ・バッタ・イナゴ・コオロギなどがよく食べられています。今後日本でも食材の選択肢として「昆虫」が当たり前に選ばれる日が来るでしょう。深刻化する食糧危機を救い、地球に優しいタンパク質源である昆虫食。この記事をきっかけに試してみませんか。