
- コオロギ・昆虫食
- 2022.02.10
見て楽しい!食べて美味しい!プロの実食コメント付き昆虫フードカタログ
今、世界から注目を集めている「昆虫食」。商品開発もどんどん進んでおり、WEBなどで気軽に購入できる機会が増えています。しかし、今度は逆に「どれを買えばいいかわからない」という声もチラホラ。
そこで今回は、2人の「昆虫食のプロフェッショナル」に、最新の昆虫フードから日本で長く親しまれる伝統食まで、実際に食べてみた感想をレポートしてもらいました。
読んだらきっと、あなたも昆虫食を食べたくなるはず!
実食するのはこの2人!
ANTCICADA 篠原祐太さん

1994年生まれ。幼少期より地球を愛し、あらゆる野生の恵を味わう。昆虫食歴23年。都内有名店での修行を経て、創作昆虫食レストラン・ANTCICADAの代表。数千匹の生き物と同棲しながら、虫料理開発・ワークショップ・執筆・講演と幅広く活動中。https://antcicada.com
TAKEO 齋藤健生さん

1985年生まれ。日本初の昆虫食専門ECサイト「昆虫食TAKEO」を運営するTAKEO株式会社の代表取締役。自社オリジナルの昆虫食商品の開発から世界の昆虫食商品の輸入・飲食店運営・トノサマバッタの養殖技術開発事業まで行っている。昆虫食販売歴8年目。https://takeo.tokyo
すべて実食!WEBで買える昆虫フードカタログ

今回はWEB上で買える昆虫フードのなかから人気のあるものを編集部がお取り寄せ。
今アツい最新昆虫食から、日本で長く親しまれる伝統的な昆虫食まで、どーんと10種類をプロ2人のリアル食レポ付きでご紹介していきます。
【昆虫フード①】無印良品「コオロギせんべい」

無印良品を運営する株式会社良品計画とグリラスが協業して開発し、SNSを中心に大きな話題を呼んだ「コオロギせんべい」。国内で高いブランド力を持つ無印良品が発売したことで、昆虫食を知らなかった人にも体験するキッカケを作りました。
ネットでは高評価が多かった商品ですが、プロはこれをどう見るのでしょうか。
篠原さん(以下、篠原)「うーん。とにかく超食べやすいですね。えびせんです!って言われて出されたら、普通に間違えちゃうと思います。でもちゃんとコオロギの風味もあるんですよ」
齋藤さん(以下、齋藤)「コオロギ本来の風味の感じにくさでいうと、今日のラインナップの中でも一番優しい。価格もお手頃で『あの無印さん』が出しているだけあって、とにかく誰でも手に取りやすい。
それに、これを食べて美味しくないっていう人はほぼいないんじゃないかと思いますね。そのくらい、シンプルにお菓子として成立してます」
篠原「グリラスさんのコオロギパウダーってもともと、独特の風味を感じさせない優しさがあるから、この商品のブランディングとマッチしているんでしょうね」
【昆虫フード②】TAKEO「タガメサイダー」

開発段階で特許まで取得したという、TAKEO渾身の昆虫ドリンク「タガメサイダー」。そのままだと独特の風味が強いタガメですが、ジュースとしてのお味のほどは…。
篠原「僕、これ本当に好きですね。タガメって香りはすごくいいんですが、料理しづらい食材なんです。その点、これはタガメの良さを100%活かしてますね」
齋藤「大手香料メーカーで長く食品開発の仕事をしていた弊社メンバーが開発に携わっているので、タイワンタガメの香りの良さを引き立てる商品設計になっています。
タガメの持つ洋梨や青りんごのような爽やかな香りが引き立ってすごくフルーティーな仕上がり」

篠原「タガメの爽やかな香りで、どのサイダーより美味しいと思えるくらい!」
【昆虫フード③】ANTCICADA「おうちでコオロギラーメン」

レストラン・ANTCICADAでも提供されている絶品ラーメンを自宅で楽しめる商品で、ひとつひとつ手作業で行われているという、篠原さんの愛の詰まった昆虫料理です。
齋藤「これはもう昆虫食としてだけじゃなくて、高級なラーメンとしてめちゃめちゃ美味しいです!高級レストランであるANTCICADAさんの食体験を自宅で満喫できるという点は、ある種のエンターテイメントですね」
篠原「現在も商品改良を進めていて、レストランで出すものによリ近いものにするために工夫を重ねています。
ラーメンなので昆虫食の中では食べやすく手に取りやすい商品だと思いますが、スープに使っているダシの92%はコオロギ由来なんです。一杯でおよそ160匹分のコオロギを食べることができます」
齋藤「コオロギ独特の香ばしさがちゃんと味に潜んでいて、それでいて美味しい。
これはコオロギを食べたことがある人でも、昆虫食の新しい可能性を感じざるを得ない、まさに革命ともいえる商品だと思います」
【昆虫フード④】グリラス「C. TRIA クッキー ココア/ハーブ&ガーリック」

グリラスのコオロギパウダーで作られたクッキー。甘いココア味としょっぱいハーブ&ガーリック味の2種類入り。
篠原「美味しいですね。ココアの風味とコオロギの風味ってちょっと似てるから、いい意味でコオロギが隠れてます。昆虫食って、昆虫が使われていることを思いっきり主張している商品が多いけど、これはパッケージもオシャレだし、知らないうちにコオロギ食べてる!って感じ」
齋藤「ガーリック&ハーブは、コオロギの香ばしさを少し感じますね。ニンニクとハーブ風味のクッキーっていう商品自体珍しいですし、デザイン性もあるから人に渡しやすいと思います。昆虫食に抵抗がある人でも手に取りやすいはずです」
【昆虫フード⑤】グリラス「C. TRIA クランチ」

お次も、グリラスのコオロギパウダーで作られたチョコクランチをチョイス。子どもでも食べやすそうなチョコレートと、コオロギパウダーのマッチング率が気になります。
齋藤「コオロギパウダーって少し大豆っぽい味わいと近いので、甘いお菓子との相性がめちゃめちゃいいですね」
篠原「パウダーのポテンシャルの高さもあるでしょうね。優しい風味の中に、カカオのニュアンスも感じる粉末なので、チョコと混ぜてもお菓子として成立しているのはグリラスならでは」
齋藤「だからこそ、まったくコオロギを感じない逸品」
【昆虫フード⑥】ANTCICADA「イナゴラー油」

ANTCICADAでは、サイドメニューのチャーシュー丼のトッピングとしても出されている、イナゴで作った食べるラー油。今回そろえた商品の中では唯一のイナゴ食の味は…?
齋藤「うわっ!すごく面白い味わいですね。最初はラー油とは思えないくらいすごく優しい風味なんですが、後からじわじわイナゴの香ばしさがやってくる」
篠原「イナゴは食感がキモでもあるので、そこが活きるように作ってます。手軽に使える調味料が欲しいという要望で作ったのですが、あまり抵抗感なく購入してくれる人が多い商品ですね」

齋藤「イナゴって油を吸うとちょっと口に残りやすくなる印象が強いのですが、これはそんなことがない。ANTCICADAさんの商品開発力が活きていますね」
【昆虫フード⑦】花九曜印「蜂の子花九曜煮」

信州長野で古くから親しまれてきた蜂の子。蜂の幼虫を調理したもので、海産物の手に入りにくかった地域では貴重なたんぱく源として昔から食べられてきたといわれています。
なかでも花九曜印「蜂の子花九曜煮」は、高級食材として地元でもネームバリューのある一品です。
篠原「あ〜。これはもう、ダントツで美味しい。甘露煮の味付けはもちろん、蜂の子のまろやかな風味が生きている。めっちゃ白ごはん欲しくなります(笑)」
齋藤「日本食の伝統ここに極まれり、という感じですね。風味はカツオの煮付けにも近いものを感じますが、カツオにはない柔らかい食感と深い旨みによる味わいが花九曜印さんの蜂の子ならではです」
篠原「美味しすぎて、もはや悔しいですね。ちょっと貝ひもっぽい味わいもあるな。そのくらい、独特の風味がきいているのに、まったくいやらしくない。家に常備しておきたい逸品」
【昆虫フード⑧】コンフェクショナリー・コオロギ「アーモンドコオロギ」

5種類の品種を試してたどり着いた、良質なタイ産コオロギを使った「アーモンドコオロギ」。お値段は500円なので、昆虫食のなかでも比較的リーズナブル。お手軽に購入できるコオロギおつまみといえそうです。
齋藤「砂糖としょうゆの甘辛い味付けがされてるみたいですね。コオロギの香ばしさが活かされた味で、おやつやおつまみ感覚で食べることができますね」
篠原「ザラついた食後感がコオロギ食のひとつのハードルなんですが、これはアーモンドの食感を先に感じるので食べやすいですね。日本で長く親しまれてきた佃煮系の味付けなので親近感があります」
齋藤「値段的にも手に取りやすいので、お金をかけずいったん手軽にという人はまずこの商品からがいいですね」
【昆虫フード⑨】TAKEO「昆虫ロースト 広島こおろぎ」

こちらはTAKEOが日本各地の生産者さんと作り上げた国産昆虫シリーズの中でも、人気が高いという「広島こおろぎ」です。こだわりのエサとしてアーモンドをたっぷり食べて育ったコオロギ、ついたキャッチコピーは「コオロギ界の大トロ」。
原材料はフタホシコオロギのみという正真正銘の100%昆虫食とは一体?
篠原「おお!ツヤもいいし、大きい。いいコオロギを使っていますね。乾燥しても手足が取れていないし、かっこいい。イケメンでドキッとしちゃうなあ(笑)」
齋藤「原料に使用しているコオロギのエサにアーモンドを贅沢に使っています。コオロギは食べているものがしっかりと味に出るんですよ。
調味料も一切使ってないので、爬虫類のペットと一緒に食べてる、というお客さまもいらっしゃいます」
篠原「これはもはや目を閉じて食べたらほとんどアーモンドそのものですね。安いコオロギによくある雑味やえぐみがない。ある意味コオロギらしい味わいではなくなっていますが、シンプルにお菓子として美味しいですね。入門編としてはめちゃめちゃいい商品!」
【昆虫フード⑩】bugoom「キョクトウサソリ」

昆虫食のなかでもエンタメ色が強いといえるサソリ。尾に毒針を持つことで有名ですが、実は命に関わる毒を持つサソリはごく一部の種類。
とはいえ、美味しいかは気になるところ。2人のプロの感想は…?
篠原「サソリには独特の風味があるんですが、これは乾燥の工程で嫌な苦味が抜けてるのかな。香ばしさが立ってる感じで、食べやすいですね。
見た目のインパクトから来る『サソリを食ったど!』っていう体験そのものが面白いですよね」
齋藤「食感はサクサクしてて、口当たりがいいですね。造形がカッコいいから大人数で集まるホームパーティーなどで盛り上がるんじゃないでしょうか」
篠原「やっぱり、レアな体験として昆虫食にトライする人も多い。ひとりでじっくりではなく、みんなでワイワイ昆虫食にトライしてみたいという人にはおすすめできそう」
よりディープな美味しさが広がる昆虫食の世界

プロフェッショナルによる昆虫フードの食レポ、いかがでしたでしょうか。
自社商品の開発にも携わる2人だからこそ出てくる、絶妙な味わいへの言語化能力には、編集部メンバーも脱帽。非常に楽しそうに一品ずつ試食する様子が印象的でした。
さて、気になる昆虫フードは見つかりましたか?あなたらしい昆虫フードを探してみてくださいね!
Photo_Ikki Fukuda Interview & Text_Shiori Mikuni Edit_Yasushi Shinohara